表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールドリフレイン  作者: 春ノ嶺
止めた歯車、三度回る
9/37

14-5

「あっれぇ?」


「……気付いた?」


シオンに腰を見られながら素っ頓狂な声を聞かされる。間違いなく興味の対象であろうホルスターに手を伸ばし、ルカは中身を引き出した。出てきたのはHK45自動拳銃、重量はPX4と同クラスだが、9ミリパラを17発入れられた先代に対し直径11.5ミリの.45ACPを10発のみ。付け加えごっつごっつしている


寿命に達した、とかではないのだ


「世界中の支部で各自に構築された補給線を一本化するためにーとか上層部が言い出してな、そんでヘッケラーコッホで装備を統一しろと。まぁベレッタはマジギレしてたが、見ろよこのザマ」


ウィルがミニミを持ち上げ、ではなくMG4を持ち上げた。これに関しては何の意味もない、開発時にパクり疑惑が持ち上がるほど両者は酷似しており、なんかちょっと重くなったかな、くらいの違いでしかない。他の被害者も新相棒を見せ、メーカーを揃えるためラファールがHK416、予備パーツの融通が利くからとヒナがHK417サプレッサー内蔵型、メルのM93Rを含む拳銃はHK45統一。唯一、ヘッケラーコッホに同クラスのものが無いという理由でロイのM95だけは残留したが、部隊の兵站はヴルスト野郎に制圧されつつある


「9パラとお別れしちゃったんですか!?」


「そうね、サブのUMPも45口径にするかMP7とすり替えるか」


「ヤバ…ナインたんだけかよ……」


詳しく見てはいないがチーム9もM1911ガバメントのクローンだったはず、が、シオンの腰に装備されているのは9ミリ弾を使うM9A1、補給で寂しい思いをする事になる。お前も取っ替えりゃいいだろって話ではあるが、車も銃もメッチャクチャに改造あいしたがる彼女の事だ、本体購入費の何倍も改造に金をかけた代物なのだろう


「わかる、わかるわ。でも案外なんとかなるから」


と、ヒナが肩を叩きながら言う。バトルライフルに持ち替えた事でMP7を手放したものの7.62ミリ亜音速弾というどマイナー路線をいまだ継続中の彼女も、イジメでも受けてんじゃないかってくらい寂しくハンドロード作業をしてたりする


『いいですかね皆さん?』


「あ、はい」


既にモスクワ市内、前方に戦闘中と思われる騒音やら爆煙を認め、さていつヘリから降りるか、という場面でこんな雑談をしてた訳である。チーム9から支給された本格的なインカムからジェラルドの声が聞こえてきたので会話をやめ、同時にヘリは高度を落とす


「てか君はどうしてここにいないのか」


『ブラックホークの最大乗員数って知ってます?』


後方からジェット機のエンジン音に似た何かが近づいてきて、なんだと外を見るとかっ飛んでいくミサイル


『目標地点付近に多数の敵部隊を確認、やっぱり直付けは無理ですわ。フランカーの群れにホーネットが紛れ込んでますが、対空兵器が多すぎる。かなり遠方で待機させてますんで、支援要請から着弾までのタイムラグは忘れないでください』


「SAM?潰した方がいいの?」


と、ラファールがのたまった瞬間に全員が椅子から立ち上がりかける。余計な事言うなバカ、見るからにそういう表情をしているがラファールは訂正せず


『それはチーム2の分担です、ポッと出の民間企業に仕事奪われたとか言ったら彼ら全員シールズ選抜訓練やりなおしになるんで、そういうイジメはやめたげてください』


「あらそう」


これまた全員同時に胸を撫で下ろしながら着席、ヘリはさらに降下してアスファルトに向かう


「あーっとっとストップ!あそこにトラックがある、拝借しましょう」


「オッケ、全員戦闘準備!」


通信機をいじくりながらラファールはブラックホークのドアを開ける、途端にエンジンの爆音、砲声。先程のミサイルはこちらの遥か前方に着弾、兵士と一緒に打ち上がるBTRが微かに見えた


「アレクセイ、聞こえる?」


『ミスラファール?いったいどうしてこんな所に?』


「それは後でいい、15分くらいでそっちに寒!さっむぅ!!……それまで耐えれる?」


『なんとか、ギリギリでしょうか』


着地した瞬間シオンが走り出す。全員が降り切ってからブラックホークは離陸し帰っていった。今の所、周囲に敵はいない


「ヒャッハー!日野さんだぜぇ!マリアーン!直結ー!」


エセックスを発ってから数分前までずーっと寝ていた茶髪ポニーがM27を抱えてシオンの後を追う。トラックは少なくとも15トン以上、普段は土とかを積んでるのだろう、荷台は汚い


「ジェラルド、目標地点の正面にとりあえず1発ぶち込んで。アレクセイ、着弾に備え」


『アメリカ人みたいな事言いますね!?そんな大雑把な方でしたっけ!?』


「依頼主のやり方に合わせてるだけよ。シオン!動ける!?」


「行けます!」


地響きでも起きそうな勢いでエンジンが目覚める。荷台は人間が乗るためのものではない、なんとかよじ登って乗車、運転席にシオン、助手席にはそのままマリアンが収まった


「ところで、回収の手筈ってどうなってるの!?」


「えっ?」


「えっ?」


「…………」


「……えっ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ