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ワールドリフレイン  作者: 春ノ嶺
EA-6
35/37

17-3

 で、


「スリーシックス、展開終わり、敵の姿はない」


『索敵に感謝、ではチームナインは国境を越える。ちなみに10分後にはアメリカは正式に中国との休戦を破棄する、それ以降は我々の判断だけで自由に交戦できるようになるぞ』


「今のところは見つかっても逃げろって事ね……」


 中国領内の田園地帯、背後にはロシアとの国境がある。間も無くシールズを先頭にしてアメリカ軍がここに現れるので、それまで周囲を警戒し続ける、この田畑にまるで似合わない浮きまくったスポーツカーの車内で。


「なんで皆さん僕に高級車を運転させたがるのか」


『ノンノンノンノンGT-Rは量産車、あくまで量産車です、一番速いけど』


 米軍の越えようとしているフェンスは小山の上、GT-Rの運転席に座るルカからは右に見える。左には溜息をつくラファールの横顔、その奥には地平線まで続く田んぼの群れ。後部座席にはさっきまでヒナがいたが、ドアがふたつしかないこの戦闘にクソ不向きな車に乗ったままでは非常時に対応できないので、今はリアタイヤのすぐ後ろあたりで伏射姿勢を取っている。持ち主のシオンは魔改造セリカを後方200mに停めてメルとロイを引き連れ、前方200mのインプレッサには正宗とウィル、シグ、ネアがいる。


「……これからは?」


「予定の上ではこのまま待ってるだけなんだけど、国境越える時なーんか見られてる気がしたのよね」


 それは確かに、ゲートでビザを見せるためにやむなく停車した時、番兵の詰所がざわついた感じがした。そりゃあれだけ国内で暴れ回れば顔も覚えられるだろう、できれば忘れていて欲しかったが。


「来るかな?」


「来るでしょ。……てかもう来てるし」


 もたれかった座席からがばりと起き上がるラファール、彼女が双眼鏡を覗く間にルカはエンジンを始動、そして足元のG36に初弾を装填しておく。

 幸いにして装甲戦闘車両はいない、海からアメリカの艦隊が迫る中でこんな田舎に回す戦車はなかろう。高機動車に乗った1個小隊、後続もいると思われる。だだっ広い田んぼの先1km、まっすぐこちらへ向かってくる。


「ヒナ、この場で待機して」


『はいよ』


「全車森の中へ、車体を隠す」


 シフトノブ操作、アクセルオンしGT-Rを発進させる。車両性能ではダントツながらばっちり出遅れ、急加速からのスピンターンでケツをまくるインプレッサとセリカと比べ燃費の良さそうな動きですぐ近くの森へ進入、中国軍が視認できなくなった頃合いで停車、マグプル416を構えて降りたラファールの後に続く。


「スリーシックスは接敵した、フェンス壊そうとしてるのは気付いてないと思うけど向かってくるわ」


『わかった、穴を広げるのは後回しにしてそちらへ合流する。だがまだ発砲はできんぞ、休戦破棄を待て』


『10分くらい誤差でいいんじゃないすかね』


『CIAのそういう考え方は好きじゃないな』


 堅物アクリッドさんは隠れんぼをお望みのようだ、銃のトリガーに指はかけないまま。


『静止を求めてくるなら従ってくれ、時間を稼げるならなんでもいい。まぁただちょっと痛い目に遭うかもしれないが10分後には必ず助ける』


「却下」


『却下だ』


『却下ーー』


『だろうな。では隠れんぼだ、武器は使わず、かき乱す』

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