3ヶ月後、イギリス
「おいおいおいおいおいおい!!!!」
「なんだなんだなんだなんだ!?」
鍵のかかっていないドアを叩き開けてシオンは玄関に浸入、M4CQBーRのストックで靴箱をガンガン叩く。すぐに黒の長髪をポニーテールにしたジャージエプロン姿の少女が現れた、フライパンを手に持ったまま。他に誰もやって来ないのを確認し、少女にずかずかと歩み寄って、フライパン上のベーコンをつまみ取る
「なんだCIAか……こら食うな!」
「母ちゃんは!?」
「はぁ!?」
「おまえのおかーちゃんはどこにいったと聞いている!!」
「旅に出るとだけ言って行方知れずになったが……だから食うな!!」
2枚目をつまんで口に放り込む、美空がフライパンを背後に隠す。ベーコンをもしゃもしゃしながら廊下を突っ切り応接室確認、誰もいない。戻ってきてダイニング確認、銀色短髪がこちらに目もくれずトーストをかじっていた
「逃げやがったか、何にせよここで確定だ。家宅捜索!」
部下2名に合図を送る。まずジェラルドが失礼しぁーすとか言いながら入ってきて、マリアンが寝ぼけ眼をこすりながら続く。入ってくるなりジェラルドはパソコンの前に陣取り、マリアンがソファの上に陣取った。30秒もすればパソコンがセキュリティを解除され、ソファでは寝息が立ち始める
「どんなもんでもいいデータ全部かっさら……おぅっ!!」
日本刀の刃が走った。柄と鍔は以前と同じものだが、中国での戦闘で折れた刀身は換装され、刃渡り70センチと少し短くなった。刃は綺麗な直刃で、地の部分に「藍切」とだけ掘られている
「説明を求める」
「オーケイ…落ち着いて聞いてくれ……」
シオンの首元に突き付けられたそれをベーコンと同じくつまんで引き離し、しゃがむことで刃から逃れた。美空はふんと鼻を鳴らして刀を鞘におさめる
「こないだの事か?」
「そう」
「もう終わっただろう」
「そう、問題はそこなんだ、私も終わったと思ってた」
美海の隣に日本刀を戻す。背後で足音がしたかと思ったら、何も入ってねーっすーとか言いながらジェラルドが階段を上っていった
「ライラックから核弾頭のデータを摘出して、そのデータどこにいった?」
「…………知らん」
「だよね!知らないよね!処分するとこ見てないよね!」
ぐいっと顔を寄せる、お…おう、と美空が頷いて
「ふりだしに戻ってんだよ!」