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ワールドリフレイン  作者: 春ノ嶺
醜い悪意と大掃除
29/37

16-2

「…………で?どうすんです?」


まずネアがラファールに聞き、同じ意味を込めてラファールがCCT管制員を見る。どうしようもないよ、とばかりに首を竦めて見せた


現在クレムリン外周部にある塔の内部、命令の通りに行動するならば戦闘がひと段落するまでここでAH-64Dが敵兵を蹂躙する様を眺めるだけでいいはずだった。なのだが、肝心のアパッチロングボウはクレムリンのほぼ中央に頭突きをかまし、テールローターを惰性で回転させながら黒煙を噴いている。予備機が急行しているとの事だが到着予定は10分後、全軍の急先鋒を自負する海兵隊はこの程度の事態はいくらでも予測していただろうし実際既に防御を固める姿勢を見せていた。問題なのはちょうど反対側で背水の陣を敷いている1個小隊だ、アパッチが来るまではすぐ退避できるように城壁の上でぱらぱら撃ってるだけだったが、もう安心だとばかりについさっき降りてしまった、内側に。10分もつのかどうかと聞かれれば微妙なように見える


『こちらチーム9!包囲攻撃を受けつつある!対空ミサイルの発射点へ行こうとしたが敵の妨害が……』


「御託はいい、助けが必要かどうかだけ言って」


『必要であります!!』


「ならそこを動くな、壁を背にしてひたすら耐えなさい」


予定を大幅に早めてCCTの護衛をロイとヒナに任せ、それだけだと心許ないので塔の入り口にもマリアンとジェラルドを配置。残り8人、これをふたつに分ける


「1ブロックずつ前進するわよ。シオン、そこの3人連れてって」


「了解、ブラボーは先行します」


ルカ、シグ、メルを引き連れまずシオンが前進。やや遅れてラファール、ウィル、ネア、正宗が続く。兵器庫内を通って海兵隊が形成した前線まですぐ辿り着き、そこでシオンが海兵隊員と少し会話、SMAWロケットランチャーがのそりと顔を出した


「よし行ったれーー!!」


シオンが号令した瞬間、クレムリン大会宮殿の北壁に大穴が開いた。ロケット弾爆発による地響きも収まらないうちに全力疾走を始め、間髪入れずにウィルと海兵隊が猛連射を叩き込む。南の武器庫の端にブラボーが到達、海兵隊とブラボーの援護を受けつつ今度はアルファが前進する。大会宮殿の南壁で停止して今度はブラボー、敵兵のみっちり詰まった武器庫の正面を通り過ぎ大クレムリン宮殿へ


『チーム9確認!南端の塔!』


「そこから援護射撃して!アクリッド!対空兵器は!?」


『武器庫の南端付近から発射されるのが見えた!攻撃するか!?』


「やらないと無限ループでしょ!ロイ!狙撃支援を!」


どっちにしたってここは敵陣のど真ん中だ、ヘリが来るのをのんびり待っている訳にはいかない。ネアのグレネードランチャーから飛び出した40ミリ弾が武器庫入り口に飛び込んでボン!と炸裂、チーム9と武器庫の間にいる敵兵を片付け終えたブラボーが戻ってきて入り口にぺったり張り付いた。チーム9は…南壁を爆破しようとしている


「よし行け!」


G36を正宗にポイしたネアが突撃していく。武器庫に入ったかどうかで南壁が爆発を起こし、さらに海兵隊からも支援部隊が差し向けられた。少し待ってから入り口のブラボーと合流、ラファールらも突入する


「多い!!」


入り口を守っていた部隊は爆死するか、綺麗に首をはねられていた。入って早々ネアから愚痴を聞かされ、武器を戻した上で宝物展示場を通って南へ。極めてスマート()に壁抜けを行ったチーム9は既に上階へ向かっており、ひとまず階段を確保、地上階を制圧するべく再び二手に分かれる


「何が武器庫だ博物館じゃないですか!どっち向いても文化財の山だ!」


「壊すなよ」


「無茶言わんでください!撃てば当たるよ!」

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