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ワールドリフレイン  作者: 春ノ嶺
降伏の丘
21/37

15-7

「アメリカ軍へ告ぐ!お前達は完全に包囲されている!武器を捨てて出てこい!条約に則った扱いを保障する!」


そこらの民家から拝借したらしいメガホン使ってロシア人が騒いでいる


「お呼びだぜ御四方」


「ふざけんなお前らもアメリカの指揮下だろ」


メインサーバーにテルミットをくくり付けながらシグが言い、そのすぐそばに木製の家具を積み上げつつライナーが返した。降伏勧告を続けるロシア人を無視しながら見つけてきた目覚まし時計をシグへパス、サーバーにくくり付けられたテルミットに時計がくくり付けられる


『お待たせしましたアレクセイです。下水道ですが100メートル進んだ所にセーフハウスがあります、そこから脱出してください』


「オーケー助かった。それからもう一つ質問なんだけど、この建物の建設費用ってどのくらい?」


『……外観はいいでしょ?』


アレクセイの背後で笑い転げるシオンを黙らせているらしい喧騒を聞いたあたりで、ヒナメルがキッチンから持ってきたガスボンベが到着、別途でC4を貼り付ける


「何から何まで耐熱素材でできてる訳じゃ無さそうだ」


「ならこれで充分だろ、ダウンロードは?」


「あと2分」


わざわざ降伏勧告してきたという事は敵さんもあんまり乗り気じゃないのだろうが、最初の勧告からもう3〜4分、2分も待ってくれるほどお人好しではないだろう。時間稼ぎをしなければならない


「まぁまぁまぁまぁ見てろ俺の巧みな話術で2分くらい稼いでやるからよ」


「これ以上信用できない言葉もそうないだろ」


「おいおいおいおいナメんな2分だぞ?テキトーに喋ってりゃなんとかなるって」


「ライナーごめん、今ちょっとカウントダウンが止まってる」


「待て待て待て待て待て待て待て待て」


問答無用とばかりに拡声器渡されるライナー、なんだよわかったよ、などと言いながら壁に張り付き、体を晒さないように拡声器を構え


「……ロシアの国技って?」


「アイスホッケー。おい何する気だ?」


「おーい!アメフトやろうぜー!」


「なんで国技聞いたんだよ!!」


「人数足りんのかー!!」


「乗ってくんのかよそんで!!」


フリーズから回復し残り100秒を切ったパソコンからメルが離れ、スモークグレネード半ダースを準備。代わってルカがパソコンに取り付いてケーブルを引っこ抜くべく待機する


「足りてねーけど足りる足りるー!ただボールが無いからちょっと取ってきて……」


「あと5秒だ!!」


「融通のきかない奴!!」


ライナーが拡声器を捨てると同時にスモークグレネードがリリースされる。そのすべてが室内に投下され、あっという間に煙が満たされ視界が無くなった


「ヒナちゃん、正面一番高い建物右側、殺さないように」


視界ゼロの中サーマルビジョン標準装備のヒナがライナーをどかして窓に陣取り、HK417がブシュンと非常に静かな発砲音を上げる。堰を切ったように銃撃戦が再開されるも、双方よく見えないので制圧射撃はかなりまばら。唯一有効な射撃ができるヒナだけが軽快に撃ち続け、再開から30秒、敵が撃つのをやめた


「パソコン!」


「残り0秒でまた止まった」


「いいよもう抜いちゃって!」


USBケーブルを引き抜いてノートPCを折り畳み、シグが目覚まし時計に電池を差し込んでタイマー始動。何も見えない中煙を突っ切って地下室へ向かう


「あの隊長さん明日には左遷でしょーね!」


「やめろよ罪悪感がやべえ!」


「左足1本で済ませてあげたんだからよくない!?」


「そうかそれなら別にいい……臭っせええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

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