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「あと30分早く来てりゃこれだけで済んだのかよクソ!30分何に使った!」
「ピーナッツバターサンド」
「大尉ィィィィィィィィィィ!!」
爆発を察して地下室へ降りてきた2人を咄嗟にタンターンと撃ってしまい、サプレッサー常備のヒナに撃たせるべきだったと後悔しているうちに上階で大声が上がる。さあ敵が来るぞと急いで迎撃姿勢を取るも、聞こえてきたのは5.56ミリ弾の発砲音。数分待って階段を登ってみると、既に事は終わっていた
「何人?」
「日本のアイドルグループ2つぶんくらいじゃないか?いくらなんでも無理だ無理」
メインサーバーに取り付いて先程のメルと同じ作業を実施するも、流石の情報機関トップ2、たった2日でも膨大なデータ量である。すぐさまコピーするのを1日切り捨て、さらにメルのノートも繋ぐ
「幸いCCTが近くで待機してる、ちょっと指示を飛ばして爆撃機を呼べば……」
「俺達ごと吹っとばせるなあ?」
「駄目じゃねえか!なんだよクソ!」
戦場漫才はスリーシックスの専売特許だと思っていたが、これを見る限り案外メジャーな競技のようである。ただふざけているが仕事は速い、死体の脇に落ちていたPKPペチェネグを拾って仲間に渡し使えるか確認。もともとライナーが持っていたミニミとメルのMG36と合わせて分隊支援火器2丁、重アサルトライフル1丁、それを建物正面に間隔を開けて配置
「逃げ道はあるよ、想像を絶するくらい臭いけど」
「臭い逃げ道ってなんだよ、下水道でも通る気か?」
「まさに」
「…マジか……うおっ!」
窓ガラスが1枚弾けて割れる。PCの見張りにシグを残して残った全員が壁に張り付き、ルカも通信機を操作しつつライナーの隣へ
「ラファール、反乱軍の増援と遭遇して現在交戦中。アレクセイに聞いてほしいんだけど、あの下水道は逃亡に使用可能?」
『状況はよくわかんないけど起こしてくるから待ってて』
まだ起きてないのかあの野郎
「今のは威嚇か?」
「どうにか時間稼がないと、何かない?」
「そっちとこっちで装備に違いはねーよ、C4に混じってテルミットがあるくらいだ」
「マジで!?マジでテルミット持ってんの!?」
まぁそうなるよな、という勢いでシグが駆け寄ってくる。テルミットというのは要するにアルミと他金属の粉末を混ぜ合わせたもので、ひとたび着火すれば化学反応が始まり3000℃で燃え上がる。タチが悪いのは水かけた程度では止まらないという所で、地肌に引っ付きでもしたら本気で笑えない事態になる
「それで何ができんのー?」
「鉄を溶かせるぞー…とぉ?」
と、いった所でもう1発が着弾。続けてダダダンと連射が叩き込まれ
「おおおおおおおおぅぅ!!」
一拍間を置いて猛連射が始まった
「なんで今段階踏んだのぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「知らねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ロシア人大好き飽和攻撃の洗礼を受けながら焼け石に水をぶっかけ、もといマシンガン3丁でありったけの弾を撃ち返す。コンクリートの破片が飛び交う中でもある程度の成果を上げるも、すぐに集中攻撃を浴びて顔を出せなくなった
「ちょっと待って新たなジンクスが生まれたんだけど!このメンツで現場に出るとバカみたいに撃たれる!!」
「増やさなくていいって!!!!」




