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ワールドリフレイン  作者: 春ノ嶺
止めた歯車、三度回る
12/37

14-8

『こちらジェラルド。たった今海軍機のサポート役をそちらの誘導要員へ明け渡しました、間も無く空軍機も到着しますので、そうすれば制空権も確保できるでしょう』


「はいはい、ギャルゲでもして待ってな」


プロペラ4つの付いた飛行型ドローンが大使館の屋根からテイクオフしていく。バルコニー脇の通路に置いたノートパソコンがさっそく反応を見せ、2Dマップに赤い点が映る


「ウェアラブルコンピュータにできないの?」


「バイザーに表示したいって事ですか?実用化は10年以上かかるしアホみたいに高価になりますよ。チーム9は最優先配備の対象になるでしょうけど、私らみたいなのには到底まったく。いやでもヒナ先生なら……」


Mk19グレネードランチャーのトリガーに指をかけるルカとM27にドラムマガジンを装着するマリアンの間にシオンはパソコンを移動、そしてM4CQBーRを右に、MSRを手前に


「最も近距離は?」


「12時方向500メートル、でも主力は左にいるな。マリアンそっち、ルカさん待機」


画面を覗き込んだのち10時方向を指差し、まずMSRをチョイス、バイポッドを立て銃口を12時方向へ


「そろそろ来るかな」


「どうなんでしょうねー。政権ひっくり返して中国に味方する以上こうなるのはわかってたはずだし、現在奴らはクレムリンを制圧しただけで、ネズミ駆除してる暇なんて無いと思うけどなー」


まぁ、と続けつつボルトを引いて初弾を装填、スコープを目に当てる。バイコヌールで使っていたのと同じ個体のようだが、サプレッサーはマズルブレーキに変更、バイポッドは大型化、弾道計算CPUもメーカーが変わっている。何においても最高を追求しないと気が済まないらしい


「アレクがなんかヤバい情報を持ってたりするなら話は別か」


MSRの観察をやめ目をパソコンへ、正面の敵が前進、左の主力が戦力の一部を後方へ回らせる


『アクリッドより大使館防衛に当たる全部隊へ。外部のレンジャー部隊が迫撃砲攻撃を開始した、着弾を確認し次第、順次交戦を開始しろ』


ヒュルルルと弾の落ちてくる音


「やけに親しそうな呼び方だけどまさか」


「な……」


迫撃砲の着弾と同時か僅かに早くMSRは咆えた。耳栓が欲しくなるくらいの銃声はヘッドギアが勝手に減殺、衝撃波だけがルカの身体を揺さぶる


「あっ外れ……うおお鳥肌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


発砲を始めるマリアン、猛烈な勢いで腕をさすりだすシオン。特にやる事もないので階下を見てみる、迫撃砲弾の連続爆発を見てシグが半狂乱していた


「勘弁してくださいよあんなそびえ立つクソ!!」


10発ほどが着弾して迫撃砲は一時沈黙、シオンが座射姿勢でMSRを構え直す。地上の喧騒に誘われるように空中でもパーティーが始まり、最初に現れたSu-25フロッグフットをアムラームミサイルがすぐさま撃墜したり、アムラームの飛んできた方向へアッダーミサイルが仕返しに飛んでったり、アッダーの飛んできた方向にカウンターよろしくアムラームが追加されたり、ミサイルの飛翔煙で訳わかんない事になり出したので混乱する前に視界から外した


「駄目ですか」


「駄目駄目駄目駄目無理無理無理!!」


「収入と性格が両立してるのに」


「もっとワイルドな…そうウィルさんみたいなのがいいの!!」


あれは単にドイツ人特有の質実剛健気質に従って無駄な事をしたがらないだけでワイルドとは違う気がするが、まぁテキサスあたりの頭のイカれたのを好みと言うよりは健全である。ご立腹シオンさん怒りの連射、ドコドコドコドコと弾を撃ち出し同じ回数トリガーとボルトを動かしていく。あっという間に5発入りマガジンを空にしリロード。発砲毎にひとつずつパソコンの反応が減っていくので、初発以外は全部当たっているのだろう


「ワイルド!クール!そういうやつ!優しさとかいらんのよ!守って貰う必要無いしね!専業主婦ってのに憧れててさ!なんかこう…早起きして朝食作って夫を見送ったら洗濯して……」


「あいつの洗濯物は匂いがヤバい、特に寝巻、腐臭に匹敵する」


「聞きたくねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


いつの間に来たのか、ラファールはルカの背後でパソコンを凝視していた。夏季とはいえ日本暮らしにとっていきなりモスクワは寒すぎたのか、どっかから調達してきた迷彩服をいつものパーカーの上から羽織っている。M4から乗り換えさせられたHK416は可能な限りマグプル製品で固められており、カラーリングがフラットダークアースからフォレッジグリーンに変わった以外に目立った違いは無い。というか、家の武器庫にマグプル製オプションが溢れているのは彼女のせいだったか


「このままだと包囲されるわね」


「そりゃ確実でしょう、でもレンジャーの本隊が外にいるから妨害して貰えば……」


「向こうも向こうで交戦中だってさ」


「ん…?」


それって結構ヤバいのでは


「ラファールより全部隊へ、ザスローンの残存部隊が外に出る、誤射に注意して」


ザスローンは確かアレクセイを守っていた部隊のはず、9人いるが4人は負傷しているので、戦えるのは5人。孤立させるのはあまりに危険である


「出すんですか?」


「戦力としては大した事ないんだけど、秘密部隊なだけあって影が薄いなーって」


褒めてるのかけなしてるのかどっちだ

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