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ワールドリフレイン  作者: 春ノ嶺
止めた歯車、三度回る
11/37

14-7

「無事に戻って来たな!ようこそアメリカへ!」


大使館に到着した瞬間、日野トラックはバリケードへと変貌した。内部にはチーム9が14名、それからレンジャーの一部、ついでにCCTという空爆要請の専門家がいた。特殊部隊のオンパレードではあるのだが、こいつらの専門職は攻撃任務であり、その肩書きはあまりアテにならない。建物に入るとラファールはアクリッドと話し始め、10秒足らずで戻って来た。たったそれだけで何がわかるのかと思ったが、かすかに聞こえてきた内容は実に簡潔


どこを守ればいい?


あそことあそこ


「ロイとヒナ、屋根裏に観測所が作られてるからそこでチーム9のスナイパーと合流して。私とウィルはお呼ばれしてるから残り2つに分けるとして……シオン、誰が欲しい?」


「じゃあルカさん」


「えっ」


「オッケ、ブラボーね。残りがアルファ」


即答であった。担当場所を聞いてからシオンは手招きしつつマリアンを伴って階段を駆け上がる


「これ以上ボケ要員増やされたらたまったもんじゃないよ」


「なるほどそうか、萌えTシャツとか無いかな?」


「そういうのいいから!!」


階段の終わりではシールズ隊員が待ち構えていて、Mk19グレネードランチャーの本体を渡された。同じように三脚と弾倉をシオンとマリアンで分担し建物正面のバルコニーまで持っていく


「それでこれをどうすれば?」


「弾があんまりありませんので、こいつを吠えさせるのは日野バリケが突破された後にしましょう。真下にアルファとチーム9がいますから、私達の仕事は彼らの支援」


本体と三脚を合体させ弾倉を装着。射撃はできるようになったが、現在バルコニーにランチャーを置いただけである。このまま戦ったとして、射手は30秒生きていられれば良い方


「土嚢!!」


さっきの隊員が袋をたくさんくれた、空の状態で。なんか最近は水に浸けただけで膨れる土嚢袋とかあるらしいが、そんな最新アイテムなどとは無縁、土を入れるためのただの袋である。なぜなら我々が食い止めたいのは水ではなく銃弾だからだ


「よーーし労働するぞーーーー」


始める前からうんざりしながらシオンがさっきの階段を駆け下りる。追って地上階に戻り、玄関を出て右に行くと、既に大量の土嚢を輩出したであろう大穴があり、一足先に同じ目に遭っていたアルファ4人と鉢合わせ


「ようこそ土木ワールドへ!」


「手を止めない!」


「へい!!」


穴の中でスコップ持ったメルとシグが掘った土を穴の外へ放り投げ、それをネアと正宗が袋詰めしている。同じ事をするためスコップを握り穴へ降りた


「なんか大事になっちゃったね!」


「どれが?」


「全部!軍人の中に会社員が9人混ざってるこの状況とかやってる事が核拡散防止とか全部!」


雪かきするお父さんよろしくざっくざっくとスコップを振り回しながらメルは言う、隣のシグにも飛び散って、ふはははとか笑いつつ移動する


「表向きは私らも民間人ですが」


「あーそれに関しては私から。コメディアンは黙ってろ」


袋を広げながらネアとシオンも喋る


「いいんじゃないですか?小金持ちの買い物に付き合うよりは好きですよ」


「着せ替え人形にされたのをまだ根に持ってるのかお前は」


「思い出させないで」


できる限りの高速で必要分の土嚢を作成、陣地に敷き詰める作業へと移る。これが一番きつい、階段越しだ。最終的にアルファにも手伝って貰ってグレネードランチャーの正面を防御する事に成功、配置に戻るべく再び分かれる。シグと正宗はすぐ行ったが、階段横にお手洗いがあったのて女子2人はそこで土を落とす。シオン達は、と思ったが、土ごときを気にするのは飽きたと返答。まずネアが出てきて、最後に手を拭きながらメル



「1人殺したぶんって何人助ければ帳消しにできるのかな」


「ん?」


「よし守るぞー!」



階段を駆け下りていった



「………何今の?」


「さぁ?」

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