月って……超無理難題来たんだけど。
「あのまるいお月様が欲しいのにゃ」
にゃ、とフワフワの手が手招く様に動く。
ライム色の目がすうっと窄まった。
「チャゲ超眩しそうなんだけど」
「これは憧れの表れにゃ」
チャゲの手がチッチッチッと振られるが、同時に大欠伸。
猫の口って見た目裏切って超デカいよな。
「チャゲ超迷惑そうなんだけど」
「コレは高岡くんの受け答えが退屈だな~ってアクビだよ」
両手を持って抱えたチャゲの後ろから佐久間が悪戯っ子みたいに嗤う。
「もっと面白い返しを要求するにゃ」
ビシッ! とチャゲの手が高岡を指差す様に突き付けられる。
勿論手を持ってるのも、喋ってるのも佐久間。
チャゲは眠たげにウトウト。
「じゃなきゃあのまあるいお月様を取って来るのにゃ~」
「チャゲ超寝てるぞ佐久間」
「エ~、今イイトコなのに~!」
口を尖らせるが、「じゃあいいや」と直ぐチャゲを椅子に載せる。
「じゃあさ、私を月まで連れてってよ!」
ね、高岡くん! と、佐久間はにぱっと笑った。