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先ほどの騒ぎがうそのように静かだ。
二人の争いも終わった。
作戦説明の会議も終わった。
うるさいものは何もない。
全員テーブルの上に顎をつけたり天井を見たりとボーっとしていた。
「なんか静かになりましたね」
「作戦会議も終わったしね」
バリボリとせんべいを食べながら正宗は薺としゃべる。
もはや決戦前の光景ではない。
普通の日常の光景である。
「そう言えばきょうは冴止達はどこに」
「宿泊か。ここの住所の場所に部屋を取っているらしいが」
「高級ホテルですか……」
冴止の持っていた紙を受け取った薺がつぶやく。
それは薺が知る中でも一番のホテルだ。
「創像機さまさまってところだな。一般兵士はもっと安いところなのだろうな」
「一般兵士の地位向上デモでも怒ったりして……」
その瞬間、阿利洒が立ち上がる。
そして察した鞘歌が阿利洒を見る。
「……デモでも……ふふっ」
「ああ、沸点の低い阿利洒ちゃんが笑いだしてもうた……」
普通の日常が過ぎていく。
これは決戦前の静けさなのだろう。