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滑稽な姿を見せあう二人。
それは自分を愛してくれている女を女と見ないというひどいものだった。
彼ら二人は鈍感なラノベ主人公などではないのだ。
この文章も滑稽なものを感じるが。
「あれ。何、見てるっすか二人とも」
そんな時、薙扨が二人が見ていることに気がつく。
「わ、わっち達を話の種にしてたでやんすな!?」
「ヒャハハハハ。田舎もん丸出しだからそうなるでやんすよ!」
「なにぉう!」
二人はじゃれあいを始める。
年齢としては不釣り合いなものである。
「ヒャハハハハ。子供っすねぇ」
「な、なんでやんすとー!」
二人のじゃれあいは殴り合いに発展するがそれほど危険なものには見えない。
子供のじゃれあいである。
「もういいな。それより本題に入ろう」
「リアビの巣についてだな」
「あ、リアビの巣についてはこちらに作戦表がありますよ~」
二人を無視して作戦の話し合いが始まる。
薺がテーブルの上に作戦表を置く。
「コット隊とアスト隊か最初に行くのか」
「一番槍ってわけです」
「露払いをしてもらうということか」
作戦表をポンポンと叩きながら正宗達は言う。
薺は話を続ける。
「これがリアビの巣の地図です。探索隊が逃げるときに測定したものを基にしているので不完全ですが」
「リアビの巣の中はアリの巣と微妙に違うな」
受け取った地図を見て違いを発見する。
それに冴止が続く。
「少し下に掘ってそのあとは横に直進で部屋が作られていってるんだな」
「横に伸びていくようになっているな」
そもそも蟻の巣のことを二人はよく知らない。
二人は下に下にそして横に広くというものだと思っている。
だがこの巣は少し下に行ってからずっと横に伸び続けている。
「しかしこれは……広いな」
「一番奥に女王アリ……いや、女王リアビがいるのだな」
冴止は地図を机に置く。
「そこでリアビが次々と生み出されているのか」
「もぞもぞしてる幼虫なリアビを想像すると体が震えるな」
正宗は体を揺らしている。
恐怖を感じているようだ。
「ああ、そもそも虫が大型になってるってだけでも恐ろしいんだが……」
「おれはああいう幼虫のがもぞもぞしてるのは苦手なんだ」
正宗は顔を青くしてこの先に起こることを考えていた。