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そんなこんなにしているうちに薺の家に到着した。
もはや正宗達みんなの家ではあるが、まだみんなの家ではない。
そしてみんな家の中へと入る。
「わぁ、広い家っすね。広いっす!」
「ふむ」
「うん」
「ですです」
先ほどと同じ光景が再び目の前で広げられている。
同じことが二度も続いてカノットは顔を赤らめている。
そして首を振り三人をにらむ。
「……またでやんすか?」
「あ、いやその。違うんだ。なんていうか……」
「わかるっすよ。かわいいんすよね」
だれもが言えなかったことを薙扨ははっきりと言った。
その言葉を聞くとカノットは再び顔を赤らめる。
そして慌てふためく。
「かっ、かわいいっ!?」
カノットはその場でジタバタと暴れる。
「フッ。どうやら正直者のようだな」
「薙扨ちゃんは嘘はきらいさ。素直で……ヒートってやつなんだよ」
ちらっと薙扨を見る。
薙扨はカノットを見て大爆笑していた。
「それは新ジャンルかな?」
「薙扨ちゃんは新しくない。おれにとってはなじみ深いよ」
そう言って正宗は薙扨を見る。
その正宗の表情を見て冴止は苦笑する。
その正宗の表情はまさに滑稽なものである。
それは妹を見るかのような表情である。
「ははっ。もうすでに新ジャンルではないか。わたしにとっては数ヶ月前に出会ったばかりさ」
そう言って冴止もカノットを見る。
その表情を見て正宗は笑う。
「そのようで」
彼らは自分のパートナーを一人の女の子としてみてはいないのである。