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騒ぎが収まると全員が席に座った。
「と言うわけで全員の創像機の名前が決まりましたね」
「決まったっすね~」
みんながにこやかに喋っている。
薙扨は目の前の煎餅を手に取って食べる。
「決まったからには今度からその名前で呼ばないといけませんね」
「ゴットフィーア、ズィルバーリッター、ビーストヴレイヴ……」
「そしてバリッターっすね」
薙扨がうんうんと頷く。
カッコいい名前ばかりで陽気になっているようだ。
そんな時薺が少し困った顔をして喋り出す。
「なんか前半二つが覚えにくいですかね?」
「いや、そんなことは……」
正宗が薺の言葉を否定する。
「ズィルバァッ……噛んでもうた……」
鞘歌が唐突にズィルバーバーリッターの名前を言いだし舌を噛む。
バツが悪そうな顔をして阿利洒のほうを向く。
すると頬を膨らませていた。
「……ズィルバーリッター……かっこいい……」
「……そりゃわかるわぁ~」
鞘歌はそれを見て少し頬が緩んだ。
そして名前を褒める。
「一番カッコいいよ」
「ええ、とてもかっこいいです」
「良すぎて困るっすね」
すると周りのみんながそれに乗ってほめ始める。
すると阿利洒の顔はみるみる笑顔になっていく。
「……ふふっ」
「お、笑いよったで。ギャグでしか笑わんと思もうてたのに」
鞘歌は指をさしてフフッと笑う。
するとほかのみんなも笑う。
「珍しいものが見れましたね」
「……わたしは……見世物じゃ……ない」
薺がさやかに同意したように言うと阿利洒は再び頬を膨らませて全員を睨む。
「ああっと、ごめんなさいっす」
「別にそんなつもりじゃなかったんです。ごめんなさい」
「か、かわいいなぁって」
「そ、そうやねん。ごめんな……」
「……いい……許す」
みんなが謝ると阿利洒はそっぽを向いた。
その顔は少し笑っていた。