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薙扨がパンパンと手をたたく。
阿利洒が笑顔をやめて席に着く。
「と、なると最後は鞘歌さんっすね」
「あれ? 鞘歌さんはどこです?」
薺があたりを見渡す。
すると鞘歌を見つけ指をさす。
「カーペットでグダってますよ。ほら、そこ」
「あ~グースカ寝ちゃってますね」
グダっとしながら寝ている様はまるで親父である。
スタイルのいい体がエロスを感じさせる。
が、正宗はすでに鞘歌という人間をよく知っているために特に何も感じない。
今までと評価を変えることはない。
「これは起こしたらかわいそうな気がする」
「でも、今一連の流れで鞘歌さん放置したら後でいろいろ言われそうっすよ」
「鞘歌さんはそういう感じのところがあるからなぁ~」
薙扨の突っ込みに正宗が同意する。
というか周りの全員が納得する。
鞘歌という人物はそういう人なのだ。
「そうですね。わかります、わかります」
「じゃあ起こすっすよ」
薙扨が鞘歌を揺らす。
すると少し目をあける。
「……んあ? ……なに? ……なんやの? なんでうちの極楽を壊すん?」
「ひっ……」
目覚めた鞘歌の眼光は薙扨を睨みつける。
薙扨は怯えて動けなくなる。
獣に襲われている感覚が体を包む。
「あ、いや、その……いま創像機の名前を決めててさ」
そんなところに正宗が助け船を出す。
「……創像機の名前?」
「え、ええ……」
すると鞘歌の顔はみるみる笑顔になっていく。
「……なんや面白そうやん! 起こしてくれてありがとうな!」
「あ、お、おおっ! よかったっす!」
肩をパンパンとたたかれ薙扨は正気を取り戻した。
「んじゃ早速決めよか~」