11
数年前、鞘歌と肇孤は親子でドームの外に出ていた。
草原を走り回り笑顔だった。
「いやは~結構遠くにきたなぁ~」
「そうぅだねぇ」
ドームから離れたところに来て二人はキャッキャッとしている。
離れた所から他の家族が歩いてくる。
「姉貴~早すぎじゃ~」
「窯洒が遅いんやよ~」
「ホントもう元気じゃあ~」
鞘歌はまだこの時は元気だった。
男であり運動系の窯洒すら手玉に取られるほどだった。
「ふふふ。元気ねぇ子どもたちは」
「そうだなぁ」
二組の親はさらにその後ろからとことこと歩いてくる。
そしてその場に止まる。
「ここら辺でご飯にしよう」
そう言って親たちはシートを引き始める。
鞘歌達はそれをよそに駆け回っている。
「「わーい、わーい」」
「姉貴たちは元気じゃ~」
のんのんと遊んでいた。
そんな時親たちの近くの地面が盛り上がる。
「ん? 何だ?」
「モグラか何かかしら」
そしてその穴はどんどんと広がる。
やばいと思いその場を離れようとした時にはすでに遅かった。
「「う、うわぁぁあぁ」」
「「きゃあぁあぁぁあ」」
穴の中へと親たちは引き込まれていく。
鞘歌達はその光景を見て驚く。
「え、なんなん……な、なんなん!?」
「おぉ父さん! おぉ母さん!」
二人は驚愕してその場に立ち尽くす。
「た、助けに行かんといけんようじゃ!」
窯洒は親のほうへ向かう。
が、その時。
「うわぁっ!」
飛んできた土により跳ね飛ばされる。
そして窯洒は気を失い倒れる。
「か、窯洒! な、なんなんこれ。な、なんなんよ!?」
「あ、あ……」
そして地面の中から騒動の主が現れる。
それはとてつもなく大きいリアビだった。
「り、リアビ!?」
「なぁんでぇこぉんなとこぉろに!」
そのリアビハ出てくるやいなや鞘歌達に近づいてくる。
その衝撃で幼い二人は硬直し気が遠くなっていく
「あ、あ……」
「ひぃ……」
(食われる。殺される。嫌だ、嫌だ、嫌だ!)
鞘歌は言葉を出せない。
頭の中では恐怖の言葉が渦巻く。
その時。
「えっ!?」
目の前に突然『何か』が現れる。
鞘歌はそれが何かはわからなかった。
なぜならそこで気を失ってしまったからである。