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「へー鍋屋か」

「まぁー今は秋やからなぁ~。季節外れやし普段はやっとらんのや」


厨房へ用意しに行った肇孤を待ちながら二人は席に向かい合って座る。

目の前に鍋がちょうど入るような穴があいている。


「それにしても鍋かぁ~久しぶりだなぁ~」

「へぇ、正宗君の世界ではどんな鍋か一般的なん?」

「まぁ、昆布だしのなべに野菜や肉を入れてポン酢で食べたり、キムチを入れたり……あと関西ではおっさんの顔のしるしで有名なスープの素を入れたり……」

「なんや最後の方はようわからんけど同じようなもんやね」


たわいのない鍋会話をしつつ正宗達は鍋を待つ。

すると肇孤がカートを押してやってくる。


「おぉまぁたぁせぇ」


カートから鍋のセットを机に置いていく。

黒い鉄鍋などがよく見える。


「すき焼き?」

「すきぃやきぃだよぉ」


どうやらやってきた鍋料理はすき焼きのようだ。

着々と用意がされていく。


「よぉいしょぉ」


調理を始める。

火をつけて鍋を温めつつ、脂を入れ全体に伸ばしていく。

肉を入れ砂糖としょうゆで味付けして焼いていく。


「うわ、うまそうだなぁ~」

「せやね!」


そしてざく切りにした白菜を入れる。

そしてその後白ネギを投入する。

砂糖と醤油でじゅんじゅんと味付けしていく。


「おお、じゅんじゅんとしてる」

「じゅんじゅんしとるなぁ~でもじゅんじゅんってどんな意味や?」

「知らんよ」


なお使い方としては正しくない。

が、どんな感じなのかを伝える言葉としては有効に思える。

正宗達は特に気にしないで使い続けた。

そして目の前では糸こんにゃくや焼き豆腐が投入されていく。


「さぁいぃごぉにぃ~まぁたぁ~」


再び砂糖と醤油が投入される。

いい匂いが広がる。


「後ぉはぁこれを乗せぇてぇ」


上に何か緑の野菜を乗せる。

正宗はどこかで見たような気もするがその野菜のことが思い出せない。


「あぁとぉはぁ、これぇを振りぃかぁけぇてぇ。完成ぃ~」


粉を振りかけてすき焼きが完成する。

正宗達は目の前の料理によだれを垂らす。


「これは……これは……うまそうだ」

「はむはむ。うまいでぇ~」

「って食べとる!? 鞘歌早いよ!」

「うまいもんは実は待ってくれへんもんやねん」


パクパクと目の前のすき焼きを鞘歌は卵につけて食べていく。

正宗もそれに参加しようとしたときに目の前に白いご飯が差し出される。


「こぉれぇもぉ~」

「おお。やっぱり銀シャリはあるべき。最高やで!」

「銀シャリ?」

「白米のことよ。さておれも……」


正宗は肉をとり用意されていた卵に付けてパクリと食べる。

すると今まで食べたことのない味が口に広がる。


「これは……牛じゃない……豚じゃない……これはいったい?」

「たぁぬきぃだよ?」

「たっ、たぬき!?」

「おぉいしぃでしょおぉ?」


正宗は目の前の肉をみる。

そして肇孤を見る。


(タヌキ……キツネがタヌキを調理……)


正宗は微妙に思いながらもつかんでいた肉を食べる。

するとおいしいのでそんなことは何とも気にならなくなった。


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