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オレの想像が創造されてしまった件について  作者: 海藤 正孝
第一章 みんなの心を釣り上げろ!
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1

第一章開幕

「うむ。初陣ながらよくぞ倒した!」

「いや、運が良かっただけですよ。正直何をどうしたらいいかよくわかりませんでした」


リアビ達との戦闘を終え、正宗達はキングの家に戻ってきていた。

そこで二人はねぎらいの言葉をもらっていた。

正宗はニヘラと崩れた顔になっていた。


「それにしても薺。お前は正宗殿に創像機の説明を一つもしていなかったのか」

「ひゃっ!? あ、いや。いきなりリアビが来たので……」


父親の怒鳴りに娘はたじろぐという一般家庭で見られそうな光景が目の前で起きている。

これは本当にキングとプリンセスなのか、正宗には理解できなかった。


「自分が創像機の想像者だと知って浮かれたのじゃな」

「いや、その、ですね。伝承として聞いていただけで本当にいてしかもなれてしまったことで……」


目の前で行われているのは一般家庭でよくある親が子を叱る光景である。

正宗は緊張感がなくなり呆れていた。


「まぁよい、それより正宗殿。本日は疲れたであろう。薺の家で休養をとるがいい」

「あ、はい。ありがとうございます」

「では、また明日来るがよい」


ねぎらいの言葉を貰い、薺とともにその場を後にした。

そう言って激闘の一日にやっと休暇の時間が訪れるのであった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「思ったんですが。女の子と同じ家で一夜を共にするってどうなんですかね」

「別に何もなければ問題ないと思いますね~」


キッチンで料理を作りながら薺は軽く話す。

正宗はそれでいいのだろうかとうなる。


「にしても、プリンセスが普通の……よりは少しいい家だけどこの家で一人暮らしなんて」

「プリンセスって言っても私には王位継承権もないので気楽に生活させてもらってるんですよ」


その言葉に正宗は首をかしげる。


「王位継承権がない? それはどういう」

「わたし、妾の子供なんですよ」


それを聞いた時、正宗は王位継承権のない理由が分かった。

妾とは夫婦ではない。

愛人のような関係であり、夫婦ではないのだ。


「もう、継承者は弟に決まっています。あったことはあまりないんですけど」


そう言いながら『ハハハ』と笑う薺の顔は暗かった。

正宗は胸がぐっと締め付けられた。


「父上、キングとは会う機会も何度かあるんですが、弟達。正妻の子には誰一人として会わせてもらえなくて」

「……」

「母上も2年前……14の時に死んじゃいまして。それからは一人暮らしですよ」


どんどんと空気が暗くなっていく。

それでも薺は話をやめない。

正宗も何をしたらいいかわからずただ話を聞き続ける。


「ま、近所の人もやさしいですし。まったくもって不自由はしてないですけど」

「そうか。強いんだな……おれは弱いからうらやましい」


正宗は苦笑する。

自分の今までの人生が最悪だと思っていたことに。


「弱い?」

「おれも親が死んで一人で生活して……特に目的もなく無気力だった」


正宗の言葉により戻りかけた空気は再び暗くなる。

それは正宗自身にも理解できたが、今の話を聞いて何かスイッチが入ってしまったようで止まらない。


「近所の人とは挨拶する程度。家に帰るとずっと一人だった」

「あ、えーと」

「高校で学級委員長になったのも人から信頼されたい。求められたかったからだ」


正宗は目の前にある机を叩き怒鳴る。

体は震え、眼は血走っていた。


「……だからこそ創造者になれたことはおれにとってよかったのかもしれない。英雄になれるんだから」

「……同じなんですよ。わたしたち。わたしも想像者になれたのがうれしかったですよ」


薺は母親のような笑顔で正宗を見つめる。

正宗はその薺の表情を見て母親を思い出し少し心が安らぐ。


「そうか……それはおれと同じような?」

「正直近所の人の一部にはわたしをキングとのつながりを持ちたいという人もいるようです」


そう言って薺は正宗の後ろに立ち、正宗を抱きしめる。

正宗は驚いたがそれを受け入れる。

昔、母親に抱かれたような感覚がして心が落ち着いていく。


「つまりおれ達は互いに都合のいい存在ってことか?」

「ええ、お互いこれでちゃんとした英雄になれるんです」

「ふふふ」

「ははは」


その時、再び部屋に笑いがおこった。

暗い空気は消えた。


いい雰囲気ですが、ハーレムものですんでまだヒロインは増えるんですけどね。


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