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「にしてもこの石にはいったいどんな神秘が秘められてるんやろうなぁ~」
「石が意思に反応して動くのかもしれない」
「……うち阿利洒ちゃんじゃないから笑わへんよ?」
「……知ってる」
二人はあの後目的通りに大樹へと向かっていた。
それほどの距離もないので動く歩道を使わずに普通に歩いている。
「にしてもさ、毎回毎回大樹って変わり映えないよな」
「え? うち、めっちゃ楽しいで?」
「でもな……」
「ん~なら、獣耳族のドームに来る?」
正宗はそれを聞いてひたっと動きを止める。
そして鞘歌の肩をつかむ。
「獣耳族ドーム!?」
「わ、ちょ、肩をいきなり持たんといて! 驚くやん」
「いや、あ、こっちも驚いてさ……」
そう言いつつかたを外し顔をそむける。
二人は少し顔を赤らめていた。
そして平常を取り戻し再び顔を合わせる。
「で、獣耳族のドームだって?」
「そや、うちと窯洒が住んでた家に案内するで。窯洒も当分帰えらんやろ……あ、なんもせえへんで!?」
「鞘歌って純粋なのか違うのか分からないなぁ……」
「け、ケースバイケースってやつやよ……」
鞘歌はうつむいて顔を赤らめる。
正宗はにやにやしながらそれを見ている。
「と、とりあえず往くで! こっちやから!」
「はいはい」
正宗はにやにや笑いながら顔を真っ赤にさせてプンプンしている鞘歌の後をついて行った。