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「いやぁ、朝ご飯はうまいですねぇ~」
「もう11時だけどね……」
「……昼……ご飯」
全員の集まりが遅かったりなんかしたりしたためもう11時だった。
そのため朝ごはんにしては量が多くなっている。
「正宗さんたちはこの後大樹に往くんですか?」
「まぁ、そのつもりだったけども……」
「それなんですけど……基地に往ってもらえます?」
薺はすまなさそうに言ってくる。
正宗は鞘歌と顔を合わせて首をかしげる。
「いえ、その。弟さんがどうしても来てほしいそうなんですよ」
「窯洒が?」
「ほぉ~あの弟。楽しい一時を潰そうっていうことやな……」
鞘歌の後ろから黒煙の炎が浮かび上がっているのが見える。
正宗は頭を押さえて義理の弟になる男のことを心配する。
そんなときふと気になったことがあった。
「そう言や鞘歌って病弱じゃなかったっけ?」
「はて。そんな設定もあったなぁ~正宗君と一緒に遊ぶようになってから知らんまに消えていったなぁ~」
「ハッハッハ! 先輩と一緒にいると強くなるっすよ!」
正宗はそれを聞くと目の前にある食事に手をつける。
創像機のパイロットになると言う事について少し自分なりの考えがまとまり始める。
きっと普通の人間ではなくなる。
自分は大けがをするであろうところでも無傷。
病弱だった鞘歌は元気に。
普通ではなくなるということに少し震えるが正宗は笑う。
「? 何笑ってるんすか先輩」
「いや、元気になってくれて本当に良かったって思ってね」
「いやはや、ありがとうな~」
鞘歌はアハハと笑う。
薺もそれにつられて笑う。
阿利洒も静かだが笑う。
正宗はにこやかに笑う。
薙扨は正宗をじっと見つめていた。
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ご飯を食べ終わり、正宗と鞘歌はみんなに見送られながら基地へと向かいだす。
「んじゃ行ってくるで~」
「晩御飯までには帰ってきてくださいよ~」
二人は手を振りながら見送りにこたえる。
とことこと基地へと向かう。
「にしてもなんやろね、窯洒の用事て」
「う~ん。なんかしょうもないことの気がする」
「その時は半殺しや」
鞘歌は手をぽきぽきとさせて笑う。
そして正宗は窯洒のことを思いながら手を合わせた。