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正宗は部屋の中に帰ってきた。
そしてベットの上にポフンと倒れこむ。
「なんやねん。これ……」
正宗はめったにしゃべらない関西弁が出るほどに驚いている。
争いは起こらない。
その通りだろう。
だけどあれじゃ自分の自由がないみたいじゃないかと……
「あ、でも」
金・土・日は自由となっていた。
つまりはその日は束縛されないのだろう。
そう思うと驚いたのがバカバカしくなっていく。
「おれは幸せなんだ。女四人と結婚で来てそのうえ刺される心配もない。世の中のハーレム主人公の中で最高に幸せなのはおれ!」
「でも本当にそうなんかな?」
ハッと起き上り入口のほうを見る。
するとそこには鞘歌が立っていた。
「幸せとは何か。深ーく考えなアカンのやないやろうか」
「耳がピコピコしてる鞘歌を見れるのは幸せだよ」
「突然の登場へのクロスカウンターやめてぇ~や」
鞘歌は頭の耳を押さえながら顔を真っ赤にする。
それを見て正宗はニヤニヤと笑う。
「ま、まぁ、何のことはない。今日の当番はウチなわけや」
「なるへそ。で、何するの?」
「軽いなぁ~女の扱いがなっとらんで~」
鞘歌はやれやれと言ったポーズをとる。
正宗は頭に手を当てる。
「ま、女の扱いなんて薙扨以外にしたことないしね」
「ああ。薙扨ちゃんなら何でも受け入れてるのが想像できるわ」
「その通りです」
正宗と鞘歌は顔を合せて笑う。
大笑いしながら一緒にベットの上に転がる。
「はーしかし……男と女がベットの上か」
「特になーんも進展せえへんけどな」
出会ってからの期間は短い。
その二人の愛が高速で進むなどということはあり得ない。
この世界がどんなに非現実的であろうとそこは変わらない。
「てなわけで定番の大樹に往こか」
「定番やね」
「せやな。往こか」
二人はそう言いながら家を出る準備を始めようとする。
すると扉をたたく音がする。
「あの~朝ごはんで来てますよ~」
扉の外から聞こえる声は薺だった。
「朝ご飯。食べなアカンな」
「ああ。食べよう」
二人は準備を止めて朝ごはんを食べに行くことにした。
二人仲良くペットから起き上がっていった。