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オレの想像が創造されてしまった件について  作者: 海藤 正孝
第六章 ええっ!? 結婚!?
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10

場面は戻り総一郎の部屋。

肩を落とす正宗を薙扨が慰めていた。


「幸せにするっすから。問題ないっすよ」

「あぁ……そう……おれが言いたいセリフだねそれ……」


正宗はさらに落胆する。

この世界に来てからと言うもの、男が女に言うセリフを逆に言われている気がしていた。

正宗は自分が目指すものからかけ離れ始めていた。


「ん? なんか廊下がうるさいな……」

「ふむ……これは薺が来たのだ」

「あ、わかるんですか?」

「わかる」


結局は親ということである。

理解ができるってことはそういうことだ。

正宗はうんうんと頷いた。

すると入口の扉が開く。


「見つけましたよ正宗さん。加勢します!」

「あの女は何を言ってるんすか? 今の状況をぶち壊す気っすよ」

「えーと。薺。何を考えてここに乗り込んで? メモにはここに往くとしか……」

「殴りこみですよね!」

「わぁ、暴力的な考え~」


正宗は頭を抱える。

そうしてくるりと総一郎のほうを向く。

そして二人は互いに頷く。


「薺よ」

「お、戦闘開始ですか」

「どうやら反抗期のようだ」


総一郎は正宗を見る。

その返答として真顔になる。

総一郎はその顔を見てフッと笑う。

正宗は少しイラっとした。


「な、薺。話を聞いてあげてくれる?」


少しひくついた顔で正宗は薺に話しかける。

ナズナは少し不思議そうな顔をしながら頷く。

それを見たあと再び正宗は総一郎のほうを向き頷く。


「薺よ。私は今までずっとお前のことを思って行動してきた」


その言葉を聞くと薺は『は?』といった顔をしていた。

正宗と薙扨はそれを淡々と見つめる。

後から来た鞘歌と阿利洒もそれをただ見ている。


「お前のために国を使ってまでいろいろなことをした……」

「えっ? それは政治的パフォーマンスで……」

「いや、違う。すべてはお前の望みをかなえるためだ」


薺はその言葉を聞きキョトンとする。

正宗と薙扨は周りに聞こえないようにひそひそと話す。


「いやはや、結局は薺も姫さんすね」

「まぁ、贅沢を普通って思わず政治って思うのは薺らしいけどね」


二人がひそひそしている間にも総一郎の話は続いていた。

薺はポカンとしながら聞いている。

まさかこんなことを聞かされると思っていなかったのだろう。


「と言うわけだ」

「なるほど」


薺は納得の言葉を口にしていた。

それを聞いて再び二人はひそひそと話す。


「わかってるのかな?」

「さぁ。なんとなく言っただけってのもあり得るっす」


答えはどっちか。

二人は薺をみる。

そして薺は喋り始める。


「つまりは今回の結婚は政治じゃないんですね!」

「その通りだ」

「ならまったく無問題ですね!」


薺はすごく喜んでいる。

正宗と薙扨はあんぐりとする。

親の愛を理解というのはそういう答えが正解だとは思えない。


「あーよかったです」

「うむ。喜んでくれてよかった」


親子は笑顔で笑っていた。

正宗と薙扨はあんぐりしていた。

そして……


「なんかうちら蚊帳の外やな」

「……殺気がさっき……消えた……ふふ」

「あ~うん。よかったな。うん。よかったわ」


残された二人は何とも言えない空気だった。

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