7
平原に立つ人型のロボット。
胸には青龍の顔顔。
頭には朱雀の兜。
背中には玄武の盾。
脚部は白虎を模られている。
その姿を見たものはこう思うだろう……英雄だと。
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「ここは……」
周りを正宗は見渡す。
辺りは青くつつまれた空間でありよくわからない所である。
目の前には草原の映像が広がっている
「なんなんだここは……」
「ここは創像機の中ですよ。」
後ろから声が聞こえたので振り向くと、そこには薺がいた。
彼女は笑顔だった。
(ロボットの中ってことか?)
「さあ、準備OKです。やりますよ!」
後ろから聞こえる元気な声。
目の前に見えるのは化け物。
「くそう! よくわからないがやってやる! おれの目的のために!」
「操作方法はあなたの動きどおりに動いてくれます!」
「動きはトレースしてくれるんだ」
そうこう言っている間にも前からリアビ3匹が迫ってくる。
どうやら創像機の視点から見える外の映像のようだ。
「そういや武器とかはないのか?」
「武器、武器ですか……えーと。どんな武器がいいか……」
薺は頭を押さえ考え込む。
正宗は緊急時に考え込んでいる薺の姿を見て疑問を持つ。
「どんな? 何言ってるんだ? このロボの武器はわからないのか?」
「ロボじゃなくて創像機なんですが……いや、その。外見しか考えてなくて……」
「はぁ? ってうおぉおぉ!?」
何もしないでいる間に黒リアビからの体当たり攻撃を受ける。
創像機はその場に倒れこんでしまう。
「と、とりあえず背中に盾がありますよ。盾!」
「た、盾ね! とりあえずはこれで防ぐ!」
背中についていた盾をとる。
すると操縦席の正宗の手に盾が現れる。
そしてその盾を操作し、黒リアビの攻撃を防ぐ。
そんな時、赤リアビがいないことに気がつく。
「まさか!」
そう思い辺りを見渡すと、赤リアビは国に向かって進んでいた。
正宗はそれに驚愕した。
「頭がいいな。あの虫ぃ!」
「えーと、武器、武器……」
黒リアビの攻撃を防ぎながら見ていることしかできない状況に正宗は焦る。
このままでは英雄ではない。
国を守ることができなかったただの負け犬である。
そんな正宗をよそに薺はただ悩み続けていた。
「ええい! 飛び道具はないの? 飛び道具!」
「え? 飛び道具? あっ! 思いつきました!」
手をポンとしながら薺は笑顔で叫ぶ。
「何? 思いついた? 何か飛び道具あるの!?」
顔を後ろに振り向け、薺を見ながら叫ぶ。
そんな正宗に薺は笑顔で叫ぶ。
「フィニクスオッポーガンです! 叫べば出ます!」
「よし。フィニクスオッポーガン!」
そう叫ぶと創像機の手に朱雀の尾っぽをかたどった銃が現れる。
それとともに操縦している正宗の手に銃が現れた。
そして銃の照準を赤リアビに合わせる。
「よし。くらえ!」
赤リアビめがけ引き金を引く。
銃の先から出た弾丸は炎をまとっていた。
その弾丸を阻むものは何もなく赤リアビに命中する。
「グゲェ!」
赤リアビは聞いたこともないような叫び声を上げる。
黒リアビはその声を聞き、少したじろぐ。
その瞬間を正宗は見逃さずに照準を合わせる。
「今だ! 至近距離の炎の弾丸を食らいやがれっ!」
盾をどけ、体当たりしてきていたリアビに弾丸をくらわせる。
至近距離の攻撃をよけれるはずもなく黒リアビは直撃を受ける。
正宗はガッツポーズをとる。
「グゲゲゲガァ!?」
「グーゲ!?」
苦しみもだえ燃え尽きていく黒リアビにもう一匹の黒リアビが駆け寄る。
正宗はその瞬間を逃さなかった。
「いまだ喰らえ! ホワイトタイガーキック!」
特に特殊な効果もあるわけがない蹴り攻撃を仕掛ける。
ただの蹴り攻撃ではあるが油断していた黒リアビは吹き飛ばされる。
「グゲッゲッ!?」
「今だ! お前も燃え尽きろ!」
宙に浮かぶ黒リアビに向かって銃を撃つ。
そして、黒リアビへ命中し燃やしつくしていく。
「グゲゲェエェェエ!」
そうして目の前の黒リアビは跡形もなく消え去った。
そして正宗は銃を下に向け安堵した。
「やりましたね」
「ああ」
そして二人はハイタッチをした。
笑顔で喜びを分かち合っていた。
「これでおれも英雄……」
「グゲガァー!」
「うごわぁっ!」
「きゃあ!」
倒したと思って油断していたところに赤リアビの突撃を食らった。
創像機はかなりの距離を吹き飛ばされる。
正宗と薺はふらふらと立ちあがる。
「赤い奴は速いだけじゃなくて装甲も固いのか!」
「あわわ。どうしましょ! どうしましょ!」
薺は慌てふためき、それを見る正宗は呆れる。
「君はキャラがぶれまくりだ!」
「ぶれてないですよ! プリンセスっぽくしてただけっ」
「グゲガァー!」
「ぎゃふん!」
そうこうしているうちに再び攻撃を受ける。
薺は情けない叫びをあげる。
「女の子がぎゃふんは……」
「そんなこと言ってる場合じゃないです……そうだ剣です。剣で真っ二つにしましょう!」
薺は再び思いついたらしく、ポンと手を叩く。
「剣、剣か! 名前は!?」
「オーリューソードです!」
「よし、オーリュ」
「グゲガァー!」
「おわっ!」
剣を出そうとした瞬間に攻撃をくらい再び吹き飛ばされる。
再びふらふらと立ちあがる。
正宗は頭を押さえる。
「し、しまらねぇ。いや、気にせず。オーリューソード!」
創像機の持っていたフィニクスオッポーガンは消え、代わりに黄金に輝く剣が現れる。
それと同時に操縦している正宗の銃も剣に代わる。
「よし! ぶった斬ってやる!」
「必殺技名はもう適当に考えちゃってください! 叫べばいけますよ!」
「よぉぉぉぉし。やってやっちゃうぜ、必殺!」
そう叫びつつ赤リアビに向かって走る。
赤リアビも再び攻撃するために創像機に向かってくる。
創像機と赤リアビが交差しそうな瞬間に正宗は叫ぶ!
「赤リアビ! これでおわりだっ!」
「グゲガァー!」
「必殺! ブループレスゴールドフィニッシュ!」
その技名が叫ばれるとともに、胴体部分の青龍の顔から青い炎が吐き出されそれを剣が絡う。
そしてその剣を持ち赤リアビへと向かう。
そして赤リアビと創像機は交差しそのまま通り過ぎた。
「……」
「……」
そしてその場の音がなくなる。
「バトル。エンド!」
その掛け声とともに創像機は剣を振り下ろす。
「グ、グギ、グゲゲゲガァ!?」
その叫び声とともに赤リアビは爆発し消滅する。
跡形見なく消え去った。
「や、やりましたね! やったんですね! やれましたね!」
「ああ! おれ達の勝利だ!」
正宗は叫び喜んだ。
それは勝ったからの喜びでもあるがそれはおまけにすぎない。
彼の喜びは英雄になれたことなのだから……
序章は今回でおしまいです。
次回から第一章が始まります。