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正宗達はあの後キングの家へと殴りこみをしかけていた。
殴りこみといっても当たり前だがそんな本気ではない。
理由を聞きに来たのである。
「父上! 何なんですかあのニュースは!」
「展開が早すぎるっすよ! もう少し恋人の期間があってもいいものっすよ!」
(恋人より前の友達の期間だったはずだが……)
正宗は見当違いなことを考えていたが重要なのはそこじゃない。
それに気がついた時には薺と薙扨が総一郎を殴っていた。
「あっ、ダメ! 殴るのダメー!」
「なんか芸人が芸してるみたいやな」
「……予選……落選」
「いやいや、こう言うのは違う面白さがあるねんて」
正宗が二人を止めに行き、残った阿利洒と鞘歌は二人で駄弁り始める。
はたから見れば何が起こっているのか分かる人はいないだろう。
というかストッパーは正宗以外いない。
正宗は二人を引きはがすことに成功した。
「はぁはぁ……ていうか総一郎さ、いやキング。なんでこんなことを」
「父上と呼びたまえ!」
「義父上……いやこれあってんのかな……いやえーと……お義父さん」
「それもいい」
正宗は頭を押さえる。
話が進まない。
後ろの女性陣の二人が再び大暴れしそうである。
「いや、で。なんでなんですお義父さん」
「ふふふ……創像機のパイロットはこうでなくてはならん」
「パフォーマンスだって言うんですか!」
「いずれこうなるのだ。早いことにこしたことはない」
「……て言うか俺まだ17なんですけど……」
正宗は頭を押さえる。
総一郎がそんなことを気にしていないそぶりからしてそんなこと関係ないのだ。
正宗はため息をつく。
総一郎がこんな男だとは思わなかった。
「父上はいつもそうです! いずれなるというものは何でも早回し。他人の意見は聞かないのですから」
「政治は他人の意見を聞いとる」
「結婚を政治に使おうとしてっ!」
「結婚は政治に使うのではない」
「このわからず屋っ!」
薺はそのまま部屋を後にして走り去って行った。
阿利洒と鞘歌も後を追っていった。
薙扨と正宗だけが残った。
「子供の扱いがなってないっすよ」
「お義父さん。親ってのは子供を叱るものでわがままを言うもんじゃないですよ」
「わがままではない」
「わがままですよ。親ってのは子どもの言うことを大事にするものはずだ」
「はずだ、か。親を知らんのではないか正宗よ」
その言葉に正宗は唇をかむ。
正宗は親を知らない。
いや、知ってはいるが記憶が古い。
一桁の子供の時の記憶など風化は早いものだ。
「王様に何がわかるっていうっすか! 親ってのはそういうものなんすか!」
「私はキングだ」
「んなのどうでもいいっすよ!」
見当違いな答えを言われ、薙扨は怒る。
正宗も納得しきれていない。
「とりあえずこの話はもう少し話しあってから決めたいんですよ」
「式は一月後。それまでに話し合うがよい」
「恋人気分はあと一ヶ月っすか」
正宗はそれを聞くと薙扨を連れて部屋を後にし