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6

薺はどこかに向かって走り続け、正宗は薺について行くように走る。

薺は笑顔で、正宗はわけがわからないと困惑した顔である。


「と、ところで結局……何が何やらなんだけど」

「ふふふ。わたしと正宗さんでこの国を救うんですよ!」

「えっ? 国を救う?」


救うという言葉を聞いたとき正宗はピタッと動きを止める。

すると、走るのをやめ、『フフン』と鼻息を立てながら薺がドヤ顔でしゃべりだす。


「そう。国を救うために戦うのですよ!」

「救うって英雄になるってこと?」

「そうですね。住人からの尊敬の眼差しで見られるでしょうね」


ニッコニコしながら鼻息を立て薺は言う。

それを聞いた正宗はそっと呟く。


「そうか。英雄か、英雄……」


正宗は黙り込む。

想像しているのだ、英雄となり多くの人から尊敬の眼差しで見られる自分を。

その姿を想像するだけで正宗の心は愉悦をえる。

それは今までの中で最高のものかもしれない。

心すべてが満たされていく。


「はっ! 正宗さん! 今は急がないと!」


そんな正宗を見ていた薺は急がなければならないことを思い出し正宗をせかす。


「えっ? ああ、そうか……今のは想像だった」

「はい?」

「現実にしなきゃ! しなきゃいけないんだ!」

「ほぇ?」


正宗の突然の叫びに薺は頭に疑問符を浮かべる。

何を『現実』にしなければならないのか。

彼女にはわからなかった。


「って、そんなこと言ってる場合ではありませんでした。こっちです!」

「ああ、急いで行こう!」


そして二人は走り出す。

それぞれの目的のために。

二人の顔は笑っていた。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「さて、穴を過ぎれば目的地ですよ」

「これは穴っていうか。滑り台のような感じが」

「ええ、この穴を滑り落ちる感じですね。緊急用なので滑り台です」


目の前の穴を見ながら正宗は胸躍る。

この先に自分の英雄への道が開かれるのだ。


「さあ往きましょう」

「ああ!」


そうして二人は穴に滑り落ちていく。

希望を抱きながら……


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


『シュタッ』という擬音が出るように二人は着地する。

正宗はあたりを見回す。

特に何もない平原である。


「ここは何もない平原?」

「ええ、国の外ですから」

「国の?」


疑問符を浮かべる正宗に薺は正宗の後ろを指さす。

その指を折って正宗も後ろを振り向く。

すると驚くべきものが眼に入り驚愕する。


「!? あれがさっきまでいた国!?」

「そう……ドーム国家『ディゴットーオス』」


超巨大ドーム。

その中に国があり街がある。

その光景は正宗にここが異世界であると再認識させる。


「正直、国名が言いにくいんでいつも国って言ってますけどね」

「ああ、それもわかる。ここが異世界だってのも……」

「あ、そんなこと言ってる場合じゃないですね。後ろ見てください」

「ん?」


正宗は再び指を差されたほうを向く。

するとそこにいた物に再び驚愕する。


「きょ、巨大なアリぃ!?」

「巨大生物、リアビです。これを倒さないと国に被害が及びます」


少し離れたところにいるリアビはこちらに向かって進行している。

1匹の赤いリアビが2匹の黒いリアビを引き連れている。


「え? あれを倒すの?」

「ですね」


正宗は異世界を実感しすぎた。

目の前に見えるのは恐怖であり受け入れがたいもの。

異世界というものが自分の常識とは違うとさらに認識する。


「で、あの。あ、あれ、た、倒すの?」

「倒しますよ~ていうか時間ないんで。早速」


そして突如、正宗の腕をつかむ。

正宗は再び驚く。


「な、何?」

「呼びましょう」

「呼ぶ?」


薺はニッコリと笑顔を見せる。

正宗はその笑顔に少しばかり恐怖を覚えた。

薺はリアビに恐怖を持っていないのだ。


「創像機を呼ぶのです」

「創像機?」


薺の言う創像機というものが何か分からずに首をかしげる。

薺は気にせず話を続ける。


「いいですか、こうやって手をつないで上にあげて」

「上げて?」


正宗は言われたように腕を上げる。

薺はそのあげた腕を握る。


「現れろ、創像機! と叫んでください。それでいけます」

「よし。現れろ、創像機!」


そう叫んだ瞬間。

突如二人は光に包まれる。


「え? な、なんだ!?」


突如として光に包まれたことに驚き慌てふためく正宗。

薺はワクワクドキドキしているという表情だった。


「召喚された創像機に搭乗するんですよ!」

「な、なにがなんだかよくわかんねぇ!」


そして二人はその場から消えた。

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