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「ところで先輩。どこに行くんすか?」
正宗の後ろをとことこと付いてくる薙扨は首をかしげながら正宗に問う。
正宗は足を止めて薙扨に顔を合わせて話す。
「いまおれが居候している……いや、住んでいる家かな」
「へ~……ん? 居候っすか?」
薙扨は居候というところが気にかかり、う~んと唸り始める。
正宗は何事かと薙扨をじっと見る。
薙扨はハッとした顔をして正宗に問いかける。
「まさか居候先には美少女や美女がいたりするんすか!?」
「えっ、まぁ、女の子は……いる、かな」
今から行こうとしているところのことを隠すわけにもいかない。
そのためはっきりと正直な答えをする。
それを聞くと薙扨はわなわなと震えだす。
「先輩っ! 手をつないでいきましょう!」
すごい剣幕で薙扨は叫ぶ。
正宗はその剣幕に押されたじろぐ。
「て、手をつなぐ?」
「圧倒的差というものを見せつけてやるんすよ!」
薙扨は『フッー!』と唸りながら正宗の手を見つめている。
正宗はそっと手を差し出す。
が、なんとなくその手は震えている。
正宗はこういう押しに弱いのである。
「まぁ、それで気が収まるのなら……」
「マジッすか!?」
薙扨は唸りをやめ、少し涎を少したらしながら手を見ている。
正宗はそれを見て薙扨が喜んでいることを理解した。
そして薙扨はわなわなと自分の手を差し出す。
「で、で、でわさっそく……」
そして薙扨が正宗の手をつかむ。
「おおぉぉおぉお!?」
「なあぁぁあぁあ!?」
突如として強い衝撃を受ける。
これは今までと比例した中で一番強い衝撃である。
手から光が火花のように散っているのが自分でも確認できる。
いつもなら少し光る程度でこんなことはない。
「な、なんすかこれは!? せっかくの好機だったのに!」
「いや、これはあれだよ……創造者と想像者の反応ってやつで」
「はぁ? もうどうでもいいっす! もう一回握るっすよ!」
そう言って薙扨は再び正宗の手をつかむ。
今度は何も起きないで普通に握ることができた。
薙扨はご満悦である。
正宗は悩みの種が増えたため頭を押さえる。
(創造機のパイロットがまた一人増えた。それに今の光はなんだ……以前阿利洒ちゃんともこういうことはあったがここまででもなかった……)
正宗は未だによくわからない光のことに悩んでいた。
だが問題はそれだけではない。
間もなく家に到着するのである。