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6

場所は変わり老人の家のリビング。

薙扨、正宗、老人が向かい合って畳の上に正座しながらちゃぶ台に乗っている湯呑に入ったお茶を啜っていた。

すべてが和風な割にはお茶は紅茶である。


「なんなんすかこれ。緑茶かと思ったら紅茶っすよ」

「ここではそういうことがあるんだ」

「想像に負けたっすね……」


薙扨はしょぼんとしながらお茶をすする。

正宗はそれを見ながらクスクス笑う。

笑いながらも本の中身を確認していく。


(製造にミスして向こうから呼び寄せる装置しか作れなかった……か。さっさとここを読んでいればよかった)


後悔先に立たずである。

してしまったことは、あとになってくやんでも取り返しがつかない。

今は薙扨が横にいる。

心残りであった少女だ。


「でも先輩と会えてよかったっす! 先輩がいなくなってからというもの学校を休んで各地を探し回っていたっす!」

「ハハっ、それはそれは……」


心残りは当たっていたようだ。

やはり薙扨は自分なしでは駄目なようだ。

正宗は一人で何でもできるようになってきていたと思っていたからこの世界に来る決心がついていたのである。

だが結果はこれである。


「ホントもうぼく先輩がいなくなって泣いたっすよ!」

「それは嬉しいかな」


正宗は内心半分残念、半分喜んでいた。

ボクっ子で年下で少し男勝りなしゃべり方。

さらにはサイドテールという正宗の心をつかむ格好までしている。

一人立ちしてほしいという気持ちもあるが、自分のそばに置いておきたい。

そんな心が自分の中で対決し合っている。

正宗は複雑であった。


「にしても、あの機械が失敗作でしたとわのぉ」

「残念だったな」

「はい。この異世界の血をひく楼陣(ろうじん)一生の不覚というやつですわ」

「異世界の血をひくが称号で楼陣が名前ですか?」

「さようです。そういえば名乗っておりませんでしたな」


こってない名前だと思いつつも正宗はお茶をすする。

薙扨は飲み終わったのか湯呑を持ちながら正宗を見ている。

正宗はそれに気が付きフッと笑う。

そして楼陣に向かって話しだす。


「まぁ、今日のところはここまでと言うことで」

「ふむ。まぁあの機械が見つかったことも大事件ですからな」


そう言って正宗と楼陣は立ち上がる。

それを見ていた薙扨も立ち上がる。


「じゃ、今日はこれで帰らせてもらいます」

「はい。じゃがあすから少し家を空けますので来月にまた来てくださるか」

「ああ、はい」


そう言って正宗は楼陣の家を後にした。

薙扨も後をついて行った。


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