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「しーごと、仕事っ」
目的地もなく走り続ける正宗。
近くにいる人がチラチラとみているが正宗は気にしない。
ただただ仕事を探し走る。
「職~職~」
タッタッタッと走り続ける正宗。
『仕事』と叫び続けて走り続ける。
「もし、そこの人」
「ん?」
話しかけられたために正宗は止まる。
声のしたほうを向くと老人がいた。
「あなたはもしや創像機の正宗さんでは?」
「そうですけど」
「おおっ! どうやらお仕事を探しておられたようですな」
「ええ」
老人はうんうんと頷く。
正宗はポカンとしている。
「どれ、私に仕事を頼まれてくれませんかな?」
「おお、仕事ですか」
正宗は大いに喜ぶ。
老人も大いに喜ぶ。
「仕事の内容は簡単です。この本を読んでほしいのです」
「本? これは日本語?」
「やはり読めますか」
老人は大層喜ぶ。
正宗も久しぶりに見た日本語を読み続ける。
「異世界とのつながりが……古くて読めなくなっているところもある」
「私の先祖のものでしてな。どうやら先祖は創像機の方と同じ世界から来た方らしいのです」
老人の言葉に政宗は驚く。
老人の肩をつかみ叫ぶ。
「異世界から来たご先祖!?」
「お、おお。揺らさないで下され」
「あ、と……」
正宗は老人から手を離す。
老人は頭を押さえながらせき込む。
「ご先祖様はどうやら創像機の方々と異世界から飛ばされてきたらしいのです」
「創像機のパイロット以外にもおれの世界から……」
正宗は顎に手を当て考える。
老人はゴホゴホとせき込む。
「まぁ続きはわしの家でいたしましょう。ささ、ついてきてくだされ」
「あ、どうも」
そう言って正宗は老人の家へと向かい始めた。