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「う、うう」
正宗は起き上がる。
ベットの上で。
「ここは? あの穴に落ちて……」
きょろきょろと周りを見る。
だがそれは一般的にみる家と変わりのない家具などが置かれている。
「テレビに電話……おれは異世界に来たんじゃなくて気を失っていて倒れていただけなのか?」
そこを誰かに助けられて連れてこられたのではないか……
そう思いながら再び周りを見る。
すると近くの窓から見える景色に思いがけないものを見つける。
「なんだ、あれはっ!」
驚きつつ正宗は窓に近づき外を見る。
見えた物、それは周りにある家やビルよりも大きい。
日本一大きいタワーなどよりもでかい。
そして横に広い……それほどの巨大な木が街の中心に生えていた。
「あんな木はおれたちがいた世界には存在しない……本当に異世界かよ!」
「おや、目が覚めましたか?」
正宗が驚いていると後ろから声がした。
そして正宗が後ろを振り向くと再び驚くものを見る。
「か、髪がやや青い……藍色ってやつか」
「はぁ、髪は藍色ですけど。それが何か?」
「い、いや……あれ?」
髪の色が自分の知っているものと違うのは異世界だからだと納得するが、今納得できないことが目の前で起きている。
(なんで言葉が通じているんだ……アニメや漫画じゃないんだ。そんなご都合主義……)
「あの、何を考えこんでるんですか?」
「うへっ!? いや、その……あれ?」
再び助けてくれた人をじっと見る。
よく見ると男物の服を着ているが体つきなどを見ると……
「お、女の人!?」
女と分かった途端に正宗は驚き、少し後ろに逃げる。
歳は同じくらい、といった感じの美少女だ。
よく見ると胸はやや大きいといった部類である。
「あ、はい。こんな格好してますけど、女なんですよ、わたし」
「は、はぁ……ん?」
格好の話をしていると自分の腕に何かのしるしのようなものが刻まれているのに気がつく。
「あ、あれ……なんだこれ。まさかご都合主義の正体……」
「あ、その腕のしるしですね。見てわかりましたよ」
目の前の少女は正宗の腕をしるしを触るように持つ。
その行為に対して正宗は驚愕する。
「えっ!? わかったって!? なにが!?」
「それはあなたが創造者だと言うことが」
そう言いつつ少女は手を離す。
正宗は『あっと』言い、少し残念そうな顔をする。
そして疑問を言う。
「創造者? それはいったい……」
「そして私は想像者」
薺の発言にさらに疑問が増え首をかしげる。
「なんか微妙に発音が違うが……何かを考える想像と、何かを作る意味の創造ってことか」
「はい。少し意味は違いますがほぼそういうことです」
そう言って少女は笑う。
それを見た正宗は一瞬ドキッとした。
顔を赤らめてしまう。
「申し遅れましたね。私の名前は薺と申します。これからよろしくお願いしますね」
「これからよろしく?」
「はい。末長く」
「末長く?」
正宗は薺のその言葉を理解できなかった。
悩んだ顔をしている正宗に薺は笑顔で話を続ける。
「もう私たちは繋がりました。今、ひとつに」
「繋がった?」
「そう、体ではなく。心の深いところが、です」
そう薺が言った時、正宗は腕のしるしを見る。
そう言って薺に印を見せる。
「これがつながったしるしか?」
「それは違います」
(違うのかよ……)
その返答を聞いた正宗はがっくりとうなだれた。