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オレの想像が創造されてしまった件について  作者: 海藤 正孝
第三章 犬耳娘に遊ばれる!?
31/110

2

場所は変わりリビング。

テーブルに向かい合って三人が座っている。

正宗の隣に阿利洒、正面に薺という状態である。


「……」

「……」

「……しずか」


静かな空気の中ぽつりとしゃべるのは阿利洒だけである。

かと思ったその時、薺がしゃべり始める。


「父上……キングに言われたんですね?」

「……そう……」

「やはり……」


薺は唇をかむ。

足も小刻みに揺らしている。

機嫌が悪い。

誰が見てもそう思う状況である。


(父上も手が早い……私が納得したとでも思っていたのですかね)


歯ぎしりの音が聞こえる。

正宗はなにもしゃべれないまま縮こまる。


「……何を……いらついてるん……ですか?」

「いらついてる? 別にいらついてはいませんよ……」


そんなわけはない。

あからさまにいらついている。

そんな言葉ではだれも騙されない。

隠しきれない。


(言えっていうんですね……父上)


歯ぎしりの音も足を小刻みに揺らす音も消える。

正宗はそれに気がつき薺の顔を見る。

阿利洒も何も言わずに薺をみる。


「いいでしょう。言いましょう。争い事は嫌いです」

「争い事?」

「何を……争うの……ですか?」

「今から言います」


薺は『ふぅ』と息を吐き、キッとした目をする。

正宗と阿利洒は真剣な表情でそれを見つめる。


「創像機に乗るものに必ずかせられる運命についてです」


二人はその言葉を聞き、息をのむ。

薺は話を続ける。


「創造者と想像者は常に一緒でなければならない……これはつまり一生をともにするということなのです」

「……一生を……ともに……」


正宗は何も言わないで黙って最後まで話を聞こうとしている。

阿利洒は『一生をともに』というワードが気になるようだ。


「これは死をも共にすると言うことなのですが。創造者と想像者は絶対に一緒に死にます」

「……一緒に……死ぬ……」


阿利洒は『一緒に死ぬ』という言葉にも反応した。

正宗はチラリと阿利洒をみるとうれしそうな顔をしていた。


「これはどちらかが死に関するようなことが起きても片方が生きていれば死にません。傷や病気も即座に治ります。ただし同時に殺されれば死にます」


淡々と薺の口から語られることは楽しい、面白いと言うものではない。

だが阿利洒の顔はすごくいいものとなっていく。

正宗はそれを見て少し顔をしかめる。


(阿利洒ちゃんはなぜ、こんなに笑顔なんだ……)


正宗は理由が分からなかった。

そんな二人は関係なく薺の話は続く。


「一生をともにはそれだけではありません。一生ということは死ぬまで一緒という当たり前のことですが……」


薺はキッとした目で言う。


「愛。恋。つまりは恋愛などのことですがこれは創造者と想像者の間以外では一切できません」


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