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あの戦いの後、阿利洒は救援に来た刹徳と共に帰宅した。
ただその姿は少し寂しそうなものだった。
それを見る刹徳の顔も寂しそうなものだった。
正宗はというと迎えにやってきたのは薺だった。
その薺はかなり泣きそうな顔だった。
かなり唸っていたため正宗は何も言わずに一緒に家に帰った。
家に帰った後も会話がなかった。
ご飯は超和食だった。
でも言葉はなかった。
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それから一日が過ぎた。
正宗はいつも通りむくっとベットから起き上がりリビングへと向かった。
するとそこにはいつも通りの超和食と薺がテーブルに座っていた。
「グッモーニン!」
「……おはようです」
元気よく挨拶してみるが答えに元気はない。
英語にして言ったが特に突っ込みもなかった。
「グッモーニン知ってるの? おはようと同じ意味なんだよね~」
「……知ってますよ。ご先祖様が使ってたらしいです」
「あ、そうなの……」
話は続かない。
正宗は仕方なく目の前にある肉じゃがに手を伸ばす。
ホクホクとして最高であり、手抜きされているところは一切見えない。
むすっとしているので手が抜かれていると思った正宗は少し驚きつつ食べ続ける。
「ひゃ~やっぱりうまいね~」
「……どうも」
確実に機嫌が悪い。
正宗には特に心当たりがなかった。
なにかあったとしたら総一郎のところで何かあったのだろう。
そう思いつつご飯を食べる。
「おいしかったよ。ごちそうさま」
「……どうも」
「毎日、楽しみにしてるよ!」
「……どうも」
いよいよ同じ言葉を繰り返すだけになってしまった。
むすっとしている薺を見て正宗はどうしようか悩む。
とりあえずは食器を集めてキッチンへと向かう。
「どうするもんかね……」
『ピンポーン』
悩んでいると玄関のチャイムが鳴る。
薺はむすっとしていて動く気配がないため正宗が向かう。
「はいはーい」
と言いつつ扉をあける。
するとそこには阿利洒がいた。
正宗は笑顔であいさつをする。
「やぁ阿利洒ちゃん。おはよう」
「……おは……よう」
二人が挨拶をしているとリビングのほうで『ガタっ』という大きい音がする。
そして大きな足音が玄関へと向かってくる。
すると阿利洒が何かを見つけたような表情をしたので正宗は振り向く。
するとキスでもしそうな距離にむすっとした薺の顔があった。
「うおわっ!?」
「阿利洒さん! 何か御用なんですか!」
驚く正宗を横によけズイッと阿利洒に顔を近づけて薺は尋ねる。
「……ここに……住む」
「は?」
「え?」
「……よろしく」
その場の空気はよくなかった。




