10
「ん? あれ、ここは……操縦席?」
あたりを見渡す。
ゴッドPのコックピットによく似ている。
が微妙に違う。
「映像……」
目の前に映し出された映像を見る。
そこには青いリアビにおもちゃにされているゴッドPが映っていた。
正宗はそのことに驚愕する。
「なっ! ここはゴッドPの操縦席じゃない!? まさか!」
「創像機……それしかありえない……」
「阿利洒ちゃん!?」
後ろを振り向くと阿利洒が複座の操縦席に座っていた。
阿利洒は驚く正宗を置き話を続ける。
「私が後ろで前が正宗さん。と言うことは私は想像者」
「そうなる……ん? 何か阿利洒ちゃん普通に喋ってない?」
「わたし自身はいつも通りのつもりだからわからない」
正宗の疑問はよそに阿利洒は話を続ける。
「つまりこの機体は私の想像通りの機体のはず……」
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その機体の姿は立派な兜に盾。
そして腰に装備されたビームランス。
シンプルながらも華麗なその姿はまるで『白銀の騎士』であった。
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「戦って! この機体なら負けない!」
「ああっ! 武器は!?」
「腰のビームランス。ガリダーランスを使って!」
「よし、ガリダーランス!」
正宗がそう叫ぶと創像機はガリダーランスをつかみ装備する。
薺との創像機とは違い、自分の動きに合わせて動かないため今回はなにも現れない。
正宗は手に握るコントローラーを巧みに扱い青いリアビに向かって前進する。
「うおぉぉぉぉおぉぉ!」
「グギィィィィィ!」
ガリダーランスを青いリアビへと連続で突き刺す。
青いリアビはゴッドPを放り投げ地面へと潜る。
穴だけがその場に残った。
「これじゃ前回と同じで逃げられておしまいだ!」
「ガリダーランスを使えばいい!」
「ガリダーランスを?」
「ガリダーランスは伸縮自在で鞭のように柔軟!!」
「なるほど。こうだねっ!」
正宗がガリダーランスを振り下ろすと穴の中へとはいっていく。
「グギャァッッッ!?」
すると叫び声が穴から響き渡る。
そして正宗はガリダーランスを引き上げる。
「そぉぉぉぉれっとなぁ!」
するとガリダーランスの刺さった青リアビが地面から飛び出てくる。
そしてガリダーランスが抜け、宙へと舞い上がる。
「そのすきは逃がさない!」
「連続突き……アインドゥッツェントシュトーセン!」
「おおっ! アインドゥッツェントシュトーセン!」
その突きは青リアビの体という体を穴だらけにする。
リアビはなにも言葉を発することなく地面に落ちる。
「これで、おしまいだ!」
「決まった」
落ちた青リアビは泡になりその場から消滅した。
正宗達がそれを見た後、想造機はその場から消え、あったはずの場所には二人が立っていた。
「倒せたね」
「……うん……よかった」
「あれ?」
「……どうした……の?」
「いや、なんでもない……いつも道理だし」
正宗は不思議に思ったが、阿利洒はいつも道理だったのでそれ以上何もいわなかった。
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その頃、この阿利洒と正宗による創像機の件についてゴッドPのカメラから見ていた博士がキングに報告していた。
「一人の創造者に二人目の想像者とは……」
『初の事例となりますな。前回がかなり前なので初なのかはわかりませんがな』
「ふむ」と頷いた総一郎は通信機の電源を切り、テーブルの上に置き隣を見る。
隣にはプルプルと震えるナズナの姿があった。
「どうやら内密にしていた内容……打ち明けねばならんのではないか?」
「そんなの……そんなの嫌ですよっ!」
「だがその言い伝え通りならば二人目の想像者が現れたのだ。言っておかねば争いが起きるやもしれんぞ?」
その言葉を聞き薺は唸る。
「ぐっううううぅぅぅ……争いは。争いは……いやです」
「ならば伝えるのだ」
「……はい」
薺は悲しそうな表情で頷いた。