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「あれ、ここ博士の部屋?」
「おぬしは刹徳の所の……と言うかどうやってここに来たんじゃ。扉がたらふくあったじゃろう」
阿利洒は首をひねる。
扉のことなど覚えてはいないのだ。
「いや、結構あったよ」
「そう……」
「なにも疑問に思わんかったんかい……」
博士は頭を悩ませる。
二人は特に気にしていない様子である。
「んでお主らは何も考えずにここに来たんかい」
「そうなる……」
「なりますねー」
博士は頭を抱える。
この二人は本当に何も考えていなかったと。
「はぁ~して? おぬしは何者じゃ」
「えっ? あ、おれですか」
「そうじゃ」
そう言ってうなずく博士に正宗は格好をつけて叫ぶ。
「おれはっ! 創像機のパイロットっ! 創造者っ! 正宗ですっ!」
「ほぉ、さよか。お主が」
「あっ。はい」
何もリアクションしてくれなかったことに驚き、正宗は正気に戻った。
それを見ていた阿利洒も呆れて正気に戻っていた。
「ん~特に要もなくこられたワシはどうすればいいかのぉ?」
「えっ。あの……おれら帰ります」
「おじゃま……しました……」
そう言って二人は入ってきた扉をあける。
そして閉める。
そしてくるっと振り向く。
「すいません。どうやって戻ればいいですかね……」
「わかんない……」
「じゃろうな」
博士は呆れた。
この二人は結局何も考えていないと。
「そもそもあの扉はここに誰も入ってこられんために設置したのじゃし」
「でも博士本人なら出かたを知ってますよね?」
「ね……」
博士はもはや何も考えなかった。