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あれから色々とあった。
大穴の中にはもはや何も残ってはいなかった。
大穴は深すぎるため、正宗達は突入などはしなかった。
その後、やってきた調査隊により調査がされることが決定した。
そして、正宗達は……
「あ、えと……いや、あの穴が何だかはじぶんらにもわからないですね」
「ちょっと、正宗さん。言葉遣いが変ですよ」
「あ、いや……だって」
「そうだぞ。もっと気楽にしたまえ」
「は、はい。キング……」
キングこと薺の父親である総一郎の報告兼食事会に招待されていた。
キングの前でどういう風にしゃべればいいのかわからない正宗はたどたどしかった。
ナズナはその正宗を見て悲しい表情をしていた。
そんなこともつゆ知らず総一郎は気楽に話しかける。
「はっはは! もっと気楽にしたまえ! 何も罰など与えんよ」
「あ、はい。そう言ってもらえるとおれも助かりますね」
総一郎の言葉一つで正宗はケロッと口調を変える。
ナズナはそれを見て再び悲しい表情をしたが首を振り笑顔になる。
(おれってなんて小さい男なんだろ……)
心の中で正宗自身も泣いていた。
「ところで薺よ。創像機のパイロットの事についてはちゃんと説明したのであろうな?」
その発言を聞いたナズナはビクッと体を一瞬震わせる。
そうして笑顔でこう答える。
「あたりまえじゃないですかぁ~キングったら何当たり前の子と聞いちゃって~」
「言っておらんようじゃな」
ギッくぅと薺は体を震わせる。
ちらっと横にいる正宗を見る。
「えーと……」
「……」
「あ、アハハ」
正宗の顔も少し怪しんでいるといった表情だ。
薺の笑顔も厳しいものとなっていく。
「か」
その言葉とともに薺は椅子からおり、膝を床につけ。
「勘弁してください」
土下座をした。