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2

あれから時間が経過し、次の日となった。

正宗は部屋の中を歩き回っている。

出発前に最後の確認をしている。


「財布は持った。服装は動きやすい」


独り言をぶつぶつと呟きながら服のポケットを調べる。

ポケットを叩き、中に手を突っ込み財布があるのを確認する。

目の前には鞄もあること、中身も完璧なことも確認する。


(行くか)


そう思って鞄を背負い、久しぶりに会う友人の顔を思い浮かべながら玄関へと向かう。


『ピンポーン』


向かおうとしていた矢先にインターホンの音が響く。

その音を聞いた正宗は何かを察したように玄関へと向かった。

頭を掻きながらめんどくさそうに。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


『ガチャ』と玄関に着いた正宗は扉をあける。

するとそこには見慣れた背の低く胸の大きい少女がいた。

腰に手を当てて『ふんす』と鼻息を立てている。


「やっぱり薙扨か……」

「やっぱりとはなんすか! やっぱりとは!」

「いつものことだからだ……」


ぷんすかと目の前で怒る少女、戦最 薙扨(せんさい なぎさ)を見てやれやれと頭に手を当てた。

そして、きりっとした顔になり薙扨を見る。


「今日は来なくていいとメールで連絡しておいただろ」

「すっ? え、メールっすか? あ、いや……見てなかったっす……」

「やはりか」


しゅんとした表情で薙扨は肩を落とした。

その薙扨の肩を正宗はポンポンと叩く。

そしてキリッとした顔でハッキリと告げる。


「とにかく。今日は帰れ」

「そ、そんな……いや、だって……」


薙扨は泣きそうな顔になる。

だが正宗は言葉を揺るげない。

鬼になって話を続ける。


「朝飯も自分で作って食った。昼も晩も外で食べてくる」

「あ、朝も晩も昼もっすか……」


その言葉を聞いた瞬間、薙扨はさらにしゅんと泣きそうな顔をする。

正宗の表情も少し暗くなる。

が、ここで引き下がるわけにはいかない。

すぐに表情を戻す。


「ああ、久しぶりに会う友人とな」


しゅんとしている薙扨を横に、正宗は靴をはき、薙扨の肩に手を置き、再びポンポンと叩く。

そして薙扨の横を通りしまっていた玄関の扉をあける。


「ま、そういうことだ。鍵を閉めるから今日は……」


そう言いながらさっと手を伸ばして外へ出るように催促する。

言葉を聞いた瞬間、薙扨は顔をはっとあげる。

その顔は慌てふためいたものだった。


「も、もしかして女の人とご飯を食べたり映画館に行ったり……ホテルに行ったり!?」

「昔と友人に会いに行くだけだっていったろ。いいから、さっさとでていった、でていった」


その場で無作為に暴れている薙扨を掴み、無理やり外に連れ出し、扉の鍵を閉める。

薙扨はガミガミと『女と~女と~』と言い続けている。

正宗は気にせず進んでいく。


「それじゃ。気をつけて帰れよ~」


くるりと振り向きそう言って正宗が去っていくのを気がつかないまま薙扨はその場で暴れていた。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


『ガタン、ゴトン』と電車の揺れる音を聞きながら正宗は携帯電話をいじくる。

メールの着信がかなりの頻度で来るからである。


「突然いなくなったとか……」


メール欄を確認しているが新規着信はほぼ薙扨のものである。

内容はほぼ同じよな内容ばかりであり、正宗はうんざりしていた。


(友達と遊びに行くだけだとメールで再び送っておこう……)


ポチポチとメールをうち、送る。

そしてうち終わると服にあるポケットにしまう。

そして、ちらっと向かいの窓の外を見る。


(もうすぐ駅か)


もうすぐ駅に着くのがわかったので降りる準備を始める。

座っていたときに膝に置いていたカバンを背中に移動させる。


「ふぅ……」


そうこうしているうちに電車は止まる。

出入り口が開く。駅に着いたのだ。


「よっしょっとっ」


席から立ち上がり電車を出る。

人の気配はあまりない。

無人に近い感じだ。


(行くか……)


そして正宗は改札口へと歩いていく。


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