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「先ほどから見えていましたがここに立っているのがコットです!」
「人型二足歩行なんだな。へぇ……」
「操縦席があって……パイロットが、頭の中で……想像すると、動く」
「ほぉ。動く必要性がないんだ」
人型のロボットが5機並んでいる。
両腰には剣、背中には盾と銃が装備されている。
「銃の弾は魔力弾と言って魔力を込めて発射するんですよ」
「銃用魔力が……尽きたら使えなくなるけど……」
「ほうほう」
じろりじろりと正宗はコットを見ていく。
それを見ている正宗の顔はニヤニヤとしていた。
「あ~ロボットはやっぱりかっこいいなぁ」
「コットは……特にこれといった特徴もない魔学機だけど……」
「シンプルなところがまたいいんだよ。およ? あの一番端のは?」
「ああ。あの重装備タイプでアンテナが付いてるやつですか」
一つだけ装備が違い、見た目もやや違う機体が一機だけある。
「あれは……隊長機……」
「ほぉ。やっぱ特別な装備で……」
「あれはわしが使いやすいように自分がカスタマイズしただけじゃ。アンテナ以外は自分の金で装備したんじゃ」
「へぇ……ん?」
後ろから知らない声が聞こえたので、くるっと後ろを振り向く。
するとそこには小太りな髭を生やした男がいた。
「隊長……」
「おーおー、阿利洒。創像機のパイロットさんに案内をしとったんかい」
「なりゆきで……」
「さよか」
そう言いながら隊長は阿利洒の頭をコスコスとなでる。
阿利洒はなでられた時少し嬉しそうに笑っていた。
「おうおう。確か創像機の正宗さん、やったかな? わしはコット隊隊長の刹徳じゃ」
「あっ、初めまして。創像機の正宗です」
「おうおう。よろしくたのむぞ」
パンパンと正宗は背中を叩かれる。
正宗は『アハハ』と軽く笑いながらそれを受け入れていた。
「なんだかいい感じですね」
「隊長……やさしいから……」
二人は笑顔でそれを見つめていた。
和やかなムードというのはこういうことを言うのであろう。
「へっ。隊長さんはお気楽だねぇ。仕事を奪う敵みたいなもんなのによぉ」
バンダナを付けた10代後半の八重樫の男が嫌味な顔でこちらを見て近づいてくる。
刹徳はその男を見て怒鳴る。
「窯洒! お前はまたそんな態度しかとれんのか!」
「けっ。おれはあんた見たくそんな余裕も実力もないでねぇ~」
そう言いながら窯洒は正宗をのぞきこみ、にやりと笑う。
正宗はその顔に嫌悪感を感じる。
「なんだよ。噂と違って雑魚っぽいねぇ~。こりゃ噂を信じすぎちまったなぁ~」
「なっ、なんですと!」
「薺ちゃん。ストップ」
「え? うー、正宗さんが言うなら」
窯洒に殴りかかろうとしていた薺を正宗は止める。
それを見た窯洒は再びニタニタと笑ってこちらを見てくる。
「おうおう。いいコンビっぷりだねぇ~ま、せいぜい頑張れや」
そう言って窯洒はその場を去って行った。
正宗は何もしゃべらず、薺は歯ぎしりを立てて睨んでいた。