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オレの想像が創造されてしまった件について  作者: 海藤 正孝
第一章 みんなの心を釣り上げろ!
14/110

7

「……けど」

「けど?」

「……副隊長は……よく思ってない」


その言葉を聞くと正宗は分からなくもなかった。

いきなり出てきた人間が自分より活躍する。

つまりは英雄の立場をとられるということだ。

それはかなり嫌なことであろうと、顔をしかめた。


「その副隊長さんはいるんですか?」

「……副隊長は……キングに……呼ばれて……」

「父上のところに、ですか。いやぁ、よかったですね」

「あっ、ああ……」


正宗は複雑そうな顔をして頷く。

薺はわかっていないのか笑顔で阿利洒と話を続ける。


「でもでも、ほぼ英雄扱いなんですよね?」

「……はい……間違いない……です」

「ですって! よかったですね!」

「……うん。そうだね」


薺の笑顔を壊さないために正宗は無難な返答しかできなかった。

自分自身は副隊長の気持ちも分からなくはないのだから。

先ほどのように心の底からは喜べない。


「そうだ! 阿利洒さん。英雄と会ったんだから記念に握手しましょう! 握手!」

「……いや……べつに……いいです」


阿利洒は薺の申し出を断るが薺はそれを遠慮と受け取る。

そして阿利洒の手をつかむ。


「遠慮しないで! ほらっ! 正宗さん!」

「えっ? あ、ああ……」


薺に手をつかまれ、誘導されるがまま、正宗は手を差し出す。

阿利洒も同じように手を差し出す。

薺は誘導のためにつかんでいた二人の手を離す。


「えっと、まぁ、これからよろしく」

「……よろしくです」


そして二人は『ギュっ』と握手をする。


「「!?」」


その瞬間二人は違和感を感じた。

いや、感じたことのない何かを感じた。

二人はそれが何かもわからぬまま手を離す。


「こ、こんな感じでいいんだよな。薺」

「ええ、英雄は求められたらちゃんと握手しないと♪」

「……求めては……いえ、うれしかった、です……」


二人はたどたどしい感じで返答をする。

正宗はぼんやりとしている頭を振りたたく。

阿利洒も頭をポンポンとた叩く。


「二人ともなにしてるんです?」

「あ、いや、ちょっとね」

「気にしなくて……いいです」

「はぁ」


薺は何が何やらよくわからなかった。

だが、二人が同じ行動をしたことに何かむっとした気持ちになった。

二人しか知らない何かがあるように思えたからだ。


「む~なんかむかむかしますね」

「何で?」

「そんなのどうでもいいんですよ! 魔学機の説明にここに来たんです! 説明しますよ!」

「あ、ああ」

「姫様……こわい……」


怒鳴る薺に二人はただならぬものを感じた。

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