7
「そうです。今日はうちで食事をしていきませんか?」
「ほぉ?」
薺の発案に冴止は声を出す。
その顔は意外とは思っていない。
「え、でもホテルで豪華バイキングが待ってるでやん……」
「ま、薺の料理はそんなものよりいいと思うっすがね」
嫌そうな顔をしているカノットに薙扨がツッコム。
その顔は嫌なものを見るような顔だった。
「豪華な料理よりいい料理なんて存在するでやんすかぁ~」
「あ~なんか自分を見ているようでいらいらするっすなぁ~」
イライラしながら薙扨はカノットをみる。
だがカノットは何も感じていないようだ。
というか何もわかってない。
「自分を見てる?」
「……馬鹿には気がつかれんように発言はこれ以上しないっす」
「?」
カノットの鈍感さに呆れ果てた薙扨はもう追撃しないことにした。
カノットもよくわからないまま首をかしげていた。
「とにもかくにもどうよ」
「ふっ。これが同僚に妻の食事を食べさせるというあれか」
「つっ妻!?」
薺はたじろぐ。
冴止と正宗はフッと笑う。
すると間に薙扨が入ってくる。
「その一人っすよ。ぼくも妻っす。冴止さんがそういうなら2人でご飯を作るっすよ」
「つ、つっと……コホン。いいでしょう。一緒に作りましょう」
「あ。阿利洒ちゃんと鞘歌さんは……」
チラッと辺りを見渡す。
すると笑いこける阿利洒を介抱するさやかが目に入った。
「どうやら参加する暇もないようです」
「仕方ないっすね。さぁ、キッチンに向かうっす」
そう言って二人はキッチンへと向かった。
それを見て冴止は再びフッと笑った。
「……まだ食べるとは返答はしていないがね」
「食べないのか?」
「ふっ。食べるよ」
「だよな」
二人はハイタッチをした。
その顔は笑顔だった。