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ファミリースポーツ・オンライン  作者: Dちう
取り扱い説明書
9/68

お客様は神様です

「それでは次にクリア時の賞金についてご説明させて頂きます。必要ない場合は~(以下略)。」


マリオンが、手に持った金貨が詰まった$袋を揺らしてジャラジャラ鳴らす。


賞金。

甘美な響だが執着しようとは思わない…だがくれると言うからには貰う。もちろん命が第一だが、あって困るものでもない。少しよりは多いほうが良い。山吹色は俺の大好きな色です。


「試合開始前に各『ファミリー』の『サポーター数』がカウントされます。」


サポーター?どういうことだ?

誰が俺たちのゲームを観戦するというのだ?


「ファミリースポーツ・オンラインは、専用チャンネルで観戦する事ができます。当ゲームは今後トッププレイヤー達によるVRプロスポーツ化を検討しております。『サポーター』は贔屓の『ファミリー』のゲームを観戦する人たちの事です。プレイヤーを応援してくれる人達です。ありがたいですね。」


プロ化って…ファミリー感台無しだな。

まあ家族揃ってスポーツしたり、家族みんなでスポーツ観戦、と考えれば間違いではないか。

このままだと間違いなく賭博の対象にもなっているのだろうな。


「そして対戦する『ファミリー』同士の『サポーター数』の合計値がゲーム終了後、支払われる賞金に換算されます。是非、応援してくださる『サポーター』の皆様を、『ファミリー』の皆様のプレイで楽しませてあげてください!」


要するに人気チームの試合には高額の賞金ということだろう。

賞金が欲しければ人気チームに挑み、生還を優先するなら不人気チームを狙えば良いのかな?

魅せるプレイとか、リップサービスとか出来るわけも無いので、心の隅に止めておくだけにしよう。


「また、『ファミリースポーツ・オンライン』ではゲームを盛り上げる為にプレイヤーの『トレード』を推奨しています。」


なんだか球団育成ゲームみたいになってきたな。

推奨ってことは任意の追加ルールだろうか?


「対戦終了後、敗北側『ファミリー』は『トレード』を宣言できます。『トレード』が宣言された場合、勝利側はそれを受け入れるか拒否するか選択します。トレードを拒否した場合は獲得賞金が半減します。トレードを了承した場合、勝利側『ファミリー』と敗北側『ファミリー』は、自分の『ファミリー』内のプレイヤーを1人選択して交換します。勝者側からトレードに出されたプレイヤーは、賞金を獲得してゲームに残留します。敗者側からトレードされたプレイヤーは、賞金を受け取る事ができませんが勝利してクリアした扱いになり、生還できます。個人的に賞金を増やしたり、『ファミリー』を補強したり、このルールを上手に活用してください。」


負けても上手く交渉できれば最低でも1人は生還させられるのか。

この場合は交換された勝者側プレイヤーに怨まれる事になってしまうかもしれないが、戦力の補強も図れるし、負け側からすればかなり良い救済措置だな。

何処にでも強欲な人はいるだろうから、賞金目当てで交代してくれる人も案外多いんじゃなかろうか。


ここまでセーフティネットがあれば、問題なく全員を帰還させられるだろうと思って安心した。


「最後にログインプレイヤーの検索方法と『ファミリー』作成及び『ファミリー・ハウス』についてご説明させて頂きます。」


マリオンが『ファミリー』管理画面の操作とプレイヤー間通信及び検索方法を、空間に広げたディスプレイを指差し、説明を始める。


これなら問題なくガキ共と合流できるだろう。

ゲーム内で接触していなくても、事前にプレイヤーネームやコールネームを教えあっていれば容易に検索・連絡が出来るし、フレンド登録・通信も可能なようだ。


ゲーム間の休憩や対戦待ちの間に使う『ファミリー・ハウス』(RPGならギルド・ハウスと言ったところか)というのも無償提供されるらしい。


「それではこれで説明を終ります。何か解らない事や知りたい事があったら管理画面の『ヘルプ』を選択していただければ、私が判る範囲内でお答えさせて頂きます。」


判る範囲ってことは核心の部分などは、はぐらかされてお終いだろうな。

後で色々質問してみよう。


「御静聴ありがとうございました。それでは『ファミリースポーツ・オンライン』をお楽しみ下さいませ。」


ペコリとマリオンがお辞儀をすると、彼の隣の空間に再び<ボフン!!>と煙が沸き立ち、中から扉が現れ自動的に<ゴゴゴ…>と音を立てて開いてゆく。


進めと言う事だろう。


ほとんど『スキップ』しなかったので、もしかしたらさっさと進めたガキ共が、あちらでシビレを切らしているかもしれない。訳もわからないところに放り込まれて寂しくて泣いているかもしれない。


「早く行って安心させてやらないとな。」


BGMを旅立ちに相応しい、そこそこ勇ましい曲に換え、気を引き締めて扉を潜る俺の耳に「ご武運を…」というマリオンの声が聴こえたような気がした。


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