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ファミリースポーツ・オンライン  作者: Dちう
その時あの人は
62/68

『イロアス』リレー

 長く書いた後に推敲するとバッサリ切ってしまって進まないので、少しずつ上げる事によってさっさと進めます。

 

 申し訳ありませんが、ウザかったら纏めて読んで下さい。

 この素晴らしい世界を堪能しつくす為に、俺は『賞金稼ぎ』と名乗るグループに身を寄せる事にした。


 帰る積りがあるのなら賞金はありがたいが、覚悟を決めた俺にとっては保険程度の意味合しかない。

 それでも彼等のグループに加わったのは、「最終戦で手に入るであろう莫大な賞金を目指す」という誘い文句に惹かれたからだ。


 莫大な賞金にはほぼ興味が無い。

 重要なのは彼等が『最終戦を目指している』という一点にある。

 

 ほとんどの者が早急に生還の切符を手に入れたがるであろう。

 何割かの計算高い者は、適当な所で上がりつつ賞金を稼ぐプランで進むだろう。

 そして嬉しい事に俺を誘った馬鹿ヤロウ共は、命をチップに大金をせしめる魂胆なのだ。

 渡りに船とばかりに俺は快諾し、『ファミリー』登録を済ませた。


 折角時間もある事なので、俺はメンバーに時間ギリギリまでドームに残って調整を行う事を提案した。

 もちろんこの広いグラウンドで自由な身体を満喫したかっただけなのだが、都合よく解釈してくれたようで皆快く承諾してくれた。


 流石に最終戦を確実に勝ち残る為に集められただけあって、全員それなりに良い運動能力を持っていたが、精々が地区大会の上位レベル程度で一流と呼べる程のプレイヤーはいなかった。

 それでも久しぶりに他人と共に柔軟体操をしたり、身体能力を比べたりするのは楽しく、制限時間一杯まで心地良い疲労感を堪能した。



 モニターを着けると参加種目が表示された。

 第一戦目はリレー。

 いきなり俺の大好物からだ。

 といっても負けねばならない試合なので、逆にフラストレーションが溜まりそうではあった。

 話し合いの結果、とりあえず俺がアンカーに決まった。



 部屋から出ると一瞬の目眩の後に陸上トラックに立っていた。

 かつて死ぬほど通った懐かしい光景に涙が出そうになった。

 ああ、ここで全力で走れないのは残念過ぎる。

 試合後にタップリ走る時間は取れないものだろうかと真剣に懊悩した。



 対戦『ファミリー』はどれも貧弱な連中ばかりだった。

 更にその中には、6人中5人がどう見ても小学生未満の『ファミリー』まで居た。


 あまりにも哀れに見えたので、俺は思わず子供『ファミリー』の引率の男(といっても高校生ぐらいだろが)に、「自分たちは最終戦まで行く心算だから安心して良い」と伝えてやった……まさか彼も同じ目的であるとは知らずに。


 もし自分たちと同じ様な戦力の『ファミリー』が一つでも居れば、俺も『ご同類』を警戒してあんな事は言わなかっただろうが、あの時の俺は理想の世界に浮かれていたのと久しぶりの優越感で、冷静な判断ができなくなっていた。


 そしてその結果、俺はハルオに見事に足元を掬われたのだ。

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