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ファミリースポーツ・オンライン  作者: Dちう
その時あの人は
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『ハート・ダイヤモンド』 誓い

推敲していたつもりがどんどん変な方向に……

 同居中の友人に誘われて付き合いで予約させられたVRゲーム機。

 倍率がメチャ高いというので、絶対当たらないだろうと思っていたし、もし当たっても誰かに譲れば良いかと思っていたものの、結果はご覧の有様。

 全くツイてないったらありゃしない。


 ハズした同居人には散々恨み言を呟かれ、終にはベッドの上でもそれが続いたので、解禁日にプレイして感想を聴かせると約束してやっと黙らせる事ができた。


 TVゲームなんて恋人や同居人がやってるのを傍目で見たことがあるぐらいで、一緒にやろうと誘われたことも何度もあるが全て断ってきた。

 アナログなゲームなら付き合うのもやぶさかではないのだが、どうもあのピコピコしたやつは好きになれないのだ。


 だから今回が人生初のコンピューターゲームプレイということになる。

 いくら安いとはいえそのまま倉庫の肥やしにするのも勿体無いし、話の種にでもなれば良いかと気を持ち直して解禁時間を迎えた。

 

 始める前から相当胡散臭いものだと思えたが、実際に始まってみれば想像を遥かに超えた異常自体が待っていた。


 デスゲーム。

 仮想世界の死が、現実世界での死に繋がる悪魔の所業。


 ゲームなんてトランプとか麻雀とかを付き合い程度にやるモノで、アタシにとってはコミュニケーションツールの一つに過ぎない。

 つまり人間関係を円滑に進める為の道具、いわゆる手段であって『ゲームをすること』そのものが目的じゃあない。

 別に『ゲーム』に人生を捧げる様な生き方を否定するつもりは無い。

 馬鹿馬鹿しいとは思うけど、他人がそれをする事に異論を挟む積もりは無い。

 好きなことは人それぞれだからね。


 仮想世界の仮初の姿を作る時は、かつての憧れだった『カワイイ容姿』にしようかとチョッとだけ迷ったが、ありのままの自分で通す事にした。

 細かく設定する時間がメンドーだったし、今更だという思いもあった。


 アヴァター作成や説明を早々に切り上げてスタートすると、アタシは人も疎らな広場に立っていた。


 近くに居た参加者達に声をかけると、悲観した様子もなく妙に嬉々として興奮していた。

 彼等と少し話をした結果、VRゲームにおけるデスゲームは都市伝説として割と有名なようで、意外にもこの状況をラッキーだと喜ぶヤツもいて、しかもそんな連中が少なからず存在しているのだから頭が痛い。


 分かっているなら手を出すなと言いたい。

 知らない人間にしてみれば迷惑なだけだ。

 少なくとも知らない人たちへもっとアピールしても良かったはずだ。

 麻薬とまで言わなくても、せめて喫煙の危険性ぐらいの警告はあっても良さそうなものだ。

 このデスゲームというモノは、ゲーム中毒者にとってはご褒美なのかもしれないが、アタシのような素人にとっては百害あって一利もない、そういう意味でも麻薬や喫煙と同じだわ。


 デスゲームだと言っても、恐らく『ファミリースポーツ・オンライン』はクリア設定が他に比べて最も緩く、見返りも用意されているので『アタリ』なゲームだと件のプレイヤー達は喜んでいる。


 普通、漫画などでの設定ではデスゲームの相場は大抵ゲーム中の死亡は即現実の死に繋がり、クリア報酬などというものは設定されていないか、ラスボスを打倒したプレイヤーのみが貰える優勝賞金みたいなものであることがほとんどであると言うのだ。


 そんな大層なゲームに手を出さずにおいて良かった。

 何でも良いから簡単そうなのと思って選んだのが効を奏した。

 死なずに済むのならばそれが一番だ。


 時間の浪費だとは思うが、その程度の被害は摘み食いのつもりでクソ詰まらない男と過ごした一夜を思えば、そこまで腹が立たない程度の問題だ。


 この腐った状況をサッサと終わらせたかったのだが、コイツ等のような不謹慎なヤロウ共と『ファミリー』を組む気にはなれず、テキトーに挨拶をして別れた。


 近くに居た他の憂鬱そうな表情の(つまりはデスゲームに不満の在るプレイヤー)を強引に6人集めて『ファミリー』を結成した。


 最初の『ファミリー』は適当に集めた割にはそこそこの運動能力の連中だった。

 状況確認もさて置いて、早々と初戦の手続きを終らせて競技場へ移動する。


 とにかく試合数を多くこなして2~3戦の間に上がれればと思っていたのだが、初戦で簡単に勝利できた。


 しかしここで問題になったのが、負け『ファミリー』からトレード申請された事だ。

 対戦相手は子供を含んだ『ファミリー』だった。

 残っても良いと言うヤツが他にいなかったので、仕方なくアタシが交代することにした。

 子供を置いて出て行くことはアタシの矜持が許さない。

 

 大人の男だけの『ファミリー』と当っていればそこで抜け出すつもりだったが、次に当ったのも子供入りの『ファミリー』で、やはりこの回も他のヤロウ共が交代を渋ったのでアタシが立候補すると、ヤロウ共は露骨にホッとした顔をしていた。


 3戦目に当った『ファミリー』は全員女で、負けた後に女々しく泣いてすがり付いてくるものだから、このトレードにも仕方なく応じた。


 このままではいつになったら脱出できるか分かりゃしないとイライラし始めた4戦目。

 それが『ハルオ』との出会いだった。


 最初に出会ったときは自己陶酔の傍迷惑なガキだと思った。

 やっと気概のありそうな男が来たと思ったら、ガキがガキを救う為に命を張ると言う。


 試合前からアイツの挑発に乗りすぎて血が昇って冷静な判断ができなくなっていた。

 アタシは『ファミリー』に大人としての責任を訴えかけたが、目の前にあるチャンスという誘惑には勝てなかった。


 アタシは自己満足の為に子供を巻き込むアイツが許せなかった。

 アイツの『ファミリー』に入って、何が何でもクリアしてやろうと考えていた。



 そんな想いで『ハルオ』の『ファミリー』に加入したが、子供たちと一時を過ごし一戦を共にする間にアタシは考えを変えていた。


 『ハルオ』というヤツは、自分の思考に深くのめり込み過ぎてしまう性質なのだ。

 それが自己陶酔に見えるだけで、きちんと他人の意見を聞く耳を持っているし、他人を思い遣る心を持っている。

 ただ、誰かに心から頼ろうとしないので、独りよがりな結論に達してしまうのだ。


 もっとアタシたちに頼れ!

 アタシたちはアンタの『ファミリー』なんだから。

 アタシはアイツの何がアタシをイラつかせるのかを、やっと理解した。


 もうアタシは『ハルオ』の手段を否定しない。

 その手段の為に背負うリスクを共有しよう。


 それは多分、それぞれの目的を達成する為に必要な事だから。


 アタシは、このゲームが終る最期の時までアイツを支え続けると心に決めた。

 

雨で忙しさが一段落してくれたお陰でなんとか上げれました。

今月中になんとかあと一回は……


しかし毎度の事ながら何を書いてるのか意味不明になってるなあ。

特に後半がw

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