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ファミリースポーツ・オンライン  作者: Dちう
その時あの人は
59/68

『コギト』

 蜘蛛の巣が張りそうなほど留守にしていましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?



 間が空きすぎて、何を書いていたか良く覚えていないながらも更新ですw

 ゲームに参加できたのは偶然だった。


 VRゲーム機が転売も所有者の変更も出来ない事をアレが知ったのは、予約購入のあらゆる手続きが終った後。お得意のモンスタークレーマー化でどんなにゴネても、相手は機械的な対応で解約も返金も出来ない事を告げるだけだった。


 もしこのVRゲーム機の金額が普通の最新ゲーム機の発売価格並みだったら、アレは今でもゴネ続けていたかもしれない。

 しかし幸か不幸か、ほとんどタダ同然の初回予約版だった事が、暇な時間を持て余し気味のアレにとってはむしろ自分で遊ぶ為の良い口実に為った。


 同じく転売の為に購入したボク名義のゲーム機も、どうせ転売できないのならということで散々嫌味ったらしく恩着せがましい言葉と共に与えられた。

 誕生日にもクリスマスにもお正月にも、何もコレといってくれたことの無いアレからの、初めてのプレゼントと言えるようなモノだった。


 しかし、その時のボクにとって、それは別に何の感慨も与えるモノではなかった。

 アレにとっては『ゴミ箱に捨てるよりはマシ』だっただけに過ぎないのだ。

 むしろ『ゴミ箱に捨ててしまおう』と思わなかった事が奇跡だったかもしれない。


 正直ゲームには興味など無かった。

 毎日を生きていくことだけで精一杯なボクにとって、ゲームに割ける余裕は無い。

 それでも喜んで受け取って見せなければアレが不機嫌になるであろう事は容易に想像できた。

 だからボクは耐え難きを耐えて「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。


 アレは何も言わずに自分の部屋に帰った。

 もしボクの言動が気に入らなければ、ゲームを取り上げていたか平手が飛んできたか、といったところだろうから、そこそこ機嫌が良くなったのだろうと思う。

 

 

 ボクに親など居ない。

 アレは断じて親なんてモノでは無い。


 血の繋がりは確かにある。

 戸籍上の実の親であり、確かにボクはアレの種から芽吹いた存在である。


 だがそれだけで『親』だと主張されたくは無い。


 世間一般の常識では親っていうのはもっとあったかいモノのはずだ。


 確かにボクは、アレに扶養されている。

 食事も出るし、寝る場所もあるし、着る物も用意されている。


 だけどそこには一片の愛も存在していない。

 仕方が無いからボクを飼っているだけだと主張する。


 つまり用意されているモノは、生かすためのエサであり、囲うための檻であり、縛り付けるための鎖であったというだけだ。

 ボクという生き物を生かすのに必要だから用意されているだけに過ぎない消耗品なのだ。

 ボクがアレに生かされているのは、アレが国からの援助を得る為に必要だからだ、ということをボクは知っている。


 アレは働かない。

 

 働かずに生きるための抜け道なんていくらでもあるんだとアレは言う。

 本来社会が弱った人を救済するための手段がアレによって悪用されている。

 

 アレが本当にそれを受け取るのに正当な立場の人間であるのなら、こうも嫌悪はしなかっただろう。

 働けないのではない。働く気がないのだ。

 食べるところが無いだけ豚にも劣る虫だ。

 制度という腐肉に集る汚らわしい蛆虫なのだ。


 あんなものを自分の親だとは認められない。


 自分の存在を証明するのに、汚らわしいアレの存在など必要としたくない。

 自分自身の証明に自分以外の何者をも必要とはしたくなかった。

 アレとの繋がりを消せるものなら消してしまいたいのだ。


 アレは本来持ってはいけない家電を所有し、車を乗り回し、嗜好品に溺れ、パチンコやネットゲームに血道を挙げている。

 その中にPCもある。

 ボクはアレがネットサーフィンや通販に使うだけで全く有効活用していない事、活用できるほどに取り扱いが判っていない事を知っている。


 だからボクがアレが寝静まった夜中に起動しても気付かれたことはない。


 ボクはどうも普通の子供に比べてかなり聡いようだ。

 アレが動かす様を黙って視ていたボクは、PCの扱いをアレ以上に理解していた。

 初めの頃は見様見真似でたどたどしかった操作も、今では会話するのと同じか早いぐらいのスピードで行うことが出来るようになっていた。


 ネットの世界にダイブしたボクは様々な情報を集め、アレと関わらずに生きて行ける方法を模索した。


 色々と調べた結果、『保護者』のいないボクぐらいの年齢の子供は、どう頑張ってもアレが存在する限り、アレと係わり合いを持たずに生きる術は無かった……アレが存在する限りは。


 だが好機は不意にやって来た。


 デスゲームが始まったのはボクにとって最大の転機であった。

 

 ボクは絶対にあの薄暗く汚いねぐらには帰らない。

 このゲームという異世界から、あの反吐の塊のような場所には戻りたくない。

 ここに残れば死ぬと言うのであれば、その方が何百倍もマシだ。


 あそこに帰ってしまえば、待っているのは虐待と汚辱に塗れた日々だけだ。


 ボクはボク自身によって養われる機会を得た。

 これからボクがボク自身に寄って立つ為に、このお人好し『ファミリー』を利用させてもらう。

 

 だが、それは単なる寄生であってはならない。

 そんな事をすれば、ボクは憎んでも憎み切れないアレと同じになってしまう。

 ボクがアレとは違う存在であることの証明として、利用にはきちんと対価を払うつもりだ。

 

 そしてボクはこの世界の何処かに居る筈のアレを確実かつ合法的に抹殺し、ボク自身の自由を勝ち取ってみせると心に誓った。

 仕事がハイシーズンに突入してしまったので、恐らく9月までの間はこんな感じの亀更新が続くと思います。


 間が空き過ぎると、読者もですが作者も訳が分からなくなっていますので、何処かで一気に固めて更新したいと思っています。


 真に申し訳ございません。

 エタるつもりはありませんので、長い目で応援よろしくお願いいたします。

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