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にいちゃんで遊ぼう!

「…もーいーかーい?」


遠くからにいちゃんの声が聞こえる。

ケイドロが終わって、次はかくれんぼをする事にしたのだが、サボった罰でにいちゃんが鬼だ。


ちなみにオレ達はみんなでオレんちに行って、例のゲーム機で何やるかを相談するところだ。


にいちゃんなんて、散々居もしないオレ達を探し回って疲れ果てるといいんだ。


「遊びは真剣にやるもの」っていつも自分が言ってるのにサボったんだから、『とうぜんのむくい』ってやつだ。

大人はいつも『疲れた』って言ってはまともに遊んでくれないが、オレ達だって宿題があったりお稽古があったりと大変なんだ。


それでもにいちゃんは他の大人とは比べ物にならないぐらいイイヤツだ。

他の大人は休みの日にオレ達とまともに遊んでくれない。


おとうさんなんか、朝からずっと寝たままでどこにも連れて行ってくれない。

どこか連れてけと布団を引っぺがしたら、『ブッ!!!!』っと屁をこいて反撃された。


おかあさんは「お姉ちゃんと買い物に行くけどあんたも来る?」って言ってたけど、どうせ俺の行きたいおもちゃ売り場には行ってくれない。

行ってから帰るまでずっとあーでもないこーでもない言いながら身の程に合ってない服を何枚も試着したり、買いもしない商品を見て回ったり、帰るのかと思ったら地下の食料品売り場をぐるぐる回って安くなるまで粘ったり。

「女の買い物に付き合うとろくな目に合わない」っておとうさんが言ってたけど本当にその通りのなのだ。

だから俺は丁重にお断りした。


そんな無駄な時間に俺たちの貴重な時間を浪費したくないのだ(ってにいちゃんに言ったら「それが我慢出来ないと、俺みたいになっちゃうぞー」と寂しそうに笑っていたのがナンだか不思議だった)。


でもにいちゃんは違う。

にいちゃんは遊びに誘ってもほとんど断らない。

にいちゃんは色んな遊びを教えてくれるし、どうやったら楽しくなるか一緒に考えてくれる。

オレがボールを飛ばしすぎて近所で一番怖いジジイの家の窓ガラスを割った時も、一緒に謝りに行ってくれた。

悪い事は悪いと叱ってくれるし、良いことをしたら褒めてくれる。

オレ達はケンカはするけどイジメは絶対しない。

大きい子が小さい子を助けるし、女の子には絶対手を上げない。

それがカッコいいって事をオレ達に示してくれたのは、にいちゃんだ。


だから俺たちはにいちゃんが大好きなんだ。


「「「トゥルルルル」」」と俺達の携帯がメールの着信を告げる。

―――兄ちゃんからだ。


『受信:…まさか、おまえら帰ってないよな?』


仕方ないなあ返信してあげるか

『返信:おいおいどこみてるんだ?マヌケなケツがまるみえだぜwww』


よし、それじゃみんな、オレんちまで競争だ!

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