みんなでファミスポ
「なー、にいちゃんはどのゲームからはじめるんだよー?」
近所の悪ガキ共とケイドロしながら近日発売予定のゲーム機の話をする。
幸運にも近所のゲーム仲間(といっても小学生以下のガキども)は、見事に全員が初回生産分の購入権利を引き当てた。
生産台数こそ規格外の数千万台だが、世界の全人類が欲して止まない世紀の大発明いやさ、メーカー曰く『人類のちょーしんか(だったかな?)』なのだ。
あまりの人気っぷりに色々事件や問題も発生しているらしいが、俺とこいつ等の手元にやってくればそれで良い。
同級生の友達に自慢すれば、さぞかし羨ましがってくれるだろう(…友達いないけどな!!)。
そう、俺『府中 治夫』は高校生ながら近所のガキ共にしか心を開けないシャイボーイなのだ。
「そうだなあ、俺1人なら有名どころの会社のVRMMORPGとかやるんだがなあ。」
厨二気味な嗜好の俺としては、デスゲームでオレツエーでちょいハーレムとかにちょっと憧れる。
……まあ実際になったところでへタレてビビッて布団被って震えてるだけだろうけどなッ!!
「えーっ!?オレまだよくわかんねえよ。剣とか魔法とかかっこいいけどRPGって字を読まなきゃだろ?」
「いやいや、VRなんだから言葉でやりとりするだろうが。」
と言ってみてもやはり色々と難しいだろうとは思う。
そもそもどのゲームもジャンルと製作会社、あとはタイトルとイメージイラストぐらいしか公開していない為コレといった決め手が無いし、対象年齢すら書かれていないので、いわゆる年齢制限系のゲームにひっかかる可能性もあるはずだ。
まあソフトは全て無料でダウンロードできるらしいので、めぼしいものは大抵ダウンロードして後で1人でじっくり楽しむ心算だ。
「とーちゃんが、にいちゃんが一緒ならゲームしても良いけどRPGとかFPSとかはお前には未だ早いって言ってるしさー」
まあその考えは正しいだろう。
VRだから血しぶきとか相当リアルなのは間違いない。
それに暴力表現とか、ちょっとスケベーなのとかも教育上良くは無かろう。
まあだからといってパズルゲームとかクイズゲームなんかも、最高でも小学校の高学年のお子ちゃまな、こいつ等には未だ早かろうし…
「うーん、そうだなあ…」
ケイドロ中は使用禁止にしているはずの携帯端末で同時発売タイトルを検索してみると、丁度良さそうなタイトルを発見した。
「あーッ!にいちゃんずるいんだ!ケータイ使うの反則!!」
「いやいや、お前達が出来そうなゲームを探してやってるんだろうが…ほれ、コレなんかどうだ?」
見つけたタイトルをクリックしてイメージイラストをポップさせ、恩知らずのクソガキに見せてやる。
「ふぁみりーすぽーつ・おんらいん?」
それはデジタルゲーム創世記から続く(かつての)超有名(現在マイナー)メーカー『遊展道』が送る、安定と安全のお家芸…体感型スポーツゲームであった。