あらすじ・登場人物の紹介
これは、
売られなかった
一枚の布から始まる物語。
沖縄にある小さな紅型工房。
「仲村工房」
コロナ禍で廃業寸前だったその工房に、
一人の若者が住み込みで働き始めた。
尚継
SNSと裁縫が好きな、
どこにでもいる現代の若者だ。
彼の発想と行動力で、
沈みかけた工房は
少しずつ息を吹き返していく。
だがその工房には、
代々こう言い伝えられてきた
紅型があった。
「売るな」
「触れるな」
「見せるな」
誰も理由を知らない、
一枚の禁忌の紅型。
やがて継は知る。
その一枚を、
企業も、国家も、
そして海外の勢力までもが
密かに探していることを。
なぜ一枚の布が、
ここまで狙われるのか。
その答えは、
沖縄の歴史の中に眠っていた。
そしてその紅型を描いた職人は、
歴史の記録から消えている。
文化か。
生活か。
それとも――
まだ誰も言葉にしていない
「未来」か。
これは、
一人の若者が
“継ぐ”ことを選ぶまでの物語。
※第一部・尚継編は全35話です。
登場人物一覧
・仲村継/尚継
仲村工房の若き紅型職人。
東京の名家「尚家」の出身だが、
沖縄の小さな工房で修行を始める。
過去に残された「色」と「問い」に
向き合うことになる。
・仲村美咲
仲村工房の主。
静かな眼差しで工房を守り続ける女性。
継に必要以上の説明はしない。
・健太
仲村工房の若手スタッフ。
寡黙だが腕は確か。
新入りの継を、職人として静かに観察している。
・彩乃
仲村工房の若手スタッフ。
工房の空気を和らげる存在。
しかし仕事に対しては厳しい。
・比嘉隆司
仲村工房のベテランスタッフ。
長年この工房を見守ってきた人物。
継の「尚」という姓に、何かを思うところがある。
・林明浩
中国系大企業の若き経営者。
文化とビジネスの境界に立つ男。
沖縄の紅型にも強い関心を持つ。
・ジョン・スティーブンス
仲村工房の常連客。
在沖米空軍のエースパイロット。
祖父は沖縄戦の復員兵。
とある紅型の問題に関わる。
・リン・チャン
国立博物館の沖縄文化研究者。中台系の女性。
冷静な研究者でありながら、
紅型の持つ歴史的価値を誰よりも理解している。
・御厨正道
文化財法を専門とする大学教授。
日本の文化財保護制度に詳しい研究者。
仲村家の紅型の価値を理解し、継の味方となる文化人。
・鷹宮アレク
国際的に活動する美術キュレーター。
林明浩の文化戦略に協力する文化界の実力者。
芸術を世界市場へ広げることを信条としている。




