表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Bingata Legacy 〜沖縄戦×米軍基地配置×禁忌の紅型〜  作者: ちま
第一部 尚継編 ― 未来に紡ぐ色 ―
27/42

第二十三話 価値は、誰が決めるのか

展示を「宣言」しただけだった。

だが世界は、それを簡単には受け取らない。

仲村工房。

朝。


机の上には、いくつものスマートフォン。

健太が画面を見ている。


健太

「……また増えてる」


彩乃

「どれ?」


健太

「海外のニュース」


隆司

「こっちは投資ファンド」


彩乃

「紅型で?」


健太

「紅型で」


継は黙って聞いていた。


机の上には紅型。

あの布だ。


「……展示するって言っただけですよ」


健太

「世界はそう受け取ってない」


彩乃

「“発見された文化財”だから」


隆司

「しかも」


隆司はスマホを見せる。


見出し。


・匿名の買収打診

・海外オークション関係者

・文化財保護要求


「……」


健太

「宣言した瞬間、これか」


継は苦笑した。


「世界って暇なんですね」


健太

「いや」


隆司

「金の匂いがする」


沈黙。


継は紅型を見る。

その布を作った人物を思う。

尚造。


「……」


彩乃

「どうするの?」


「守るって言ったんだから」


一拍。


「守りますよ」


隆司

「簡単に言うな」


健太

「世界相手だぞ」


「知ってます」


継は椅子にもたれた。

そして天井を見る。


「……尚造さん」


健太

「?」


「あなた」


一拍。


「何者なんですか」


沈黙。


彩乃

「急にどうしたの」


「だって!」


継は紅型を指差す。


挿絵(By みてみん)


「布ですよ!?」


健太

「うん」


「紅型ですよ!?」


隆司

「うん」


「なのに」


「企業」


「国家」


「海外ファンド」


「全部動いてるんですよ!?」


彩乃

「そうね」


「普通、紅型で国際問題になります!?」


健太

「ならない」


隆司

「だが今なっている」


「でしょう!?」


継は立ち上がる。


「尚造さん!」


「あなた何者なんですか!」


沈黙。


継(涙目)

「何て物を残したんですか!!」


一瞬の静寂。


彩乃

「紅型です」


健太

「沖縄文化」


隆司

「あと世界情勢」


「重すぎる!!」


その瞬間。

遠く。

どこかで。


挿絵(By みてみん)


全員

「?」


「……今」


健太

「聞こえた?」


彩乃

「気のせいじゃない?」


隆司

「尚造の霊か」


「やめてください」


爆笑。


空気が少しだけ軽くなる。


しかし、

健太のスマホが鳴る。


健太

「……来た」


「何が」


健太

「輸送の問い合わせ」


彩乃

「もう?」


健太

「展示するなら」


隆司

「沖縄から東京へ運ぶ必要がある」


「……」


継は考える。


文化財輸送。

保険。

警備。


そして。


「……」


「ジョン」


隆司

「嫌な予感」


「軍用機って便利ですよね」


健太・彩乃・隆司

「「「帰れ」」」


「まだ何も言ってません!」


その頃。


沖縄。

米軍基地。


ジョン・スティーブンス。


挿絵(By みてみん)


ジョン

「……風邪か?」


彼は気づいていなかった。


自分が

とんでもない輸送作戦に

巻き込まれることを。



守ると決めた瞬間、

敵は増える。


だが、

味方もまた

増えていく。



(第二十三話 了)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ