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Bingata Legacy 〜時と海を越える遺志〜  作者: ちま
第一部 尚継編 ― 未来に紡ぐ色 ―
25/37

第二十一話 公開対談 ―すべてが覆る日―

ここから、逆襲。


これは、対話ではない。


決着だ。

東京。

 

大型スタジオ。


観客席。

カメラ。

ライト。


そして——

巨大スクリーン。

テロップ。



「紅型は公開されるべきか?」



スタジオは満席だった。


文化人。

研究者。

メディア。

そしてSNSで集まった観客。


ざわめき。


司会者が言う。

「本日は特別対談です」


「紅型の公開問題について、

 お二人に議論していただきます」


スクリーンに映る。



林明浩。

巨大企業の若きトップ。

文化事業の支援者。


そして。

もう一人。


仲村継。

紅型職人。


挿絵(By みてみん)



会場がざわめく。


「若い…」

「本当に本人?」

「職人?」


SNS実況。

コメントが流れる。


【仲村家の人だ】

【文化独占】

【説明しろ】



司会者が言う。

「ではまず、林明浩さん」


林は微笑んだ。

完璧な笑顔。


「ありがとうございます」


落ち着いた声。


「私は文化が好きです」


「だからこそ」


「紅型を世界に紹介したい」


拍手。


林は続ける。


「しかし現在」


「紅型は仲村家に保管されています」


「展示もされず、研究も進まない」


一拍。


そして言った。


「文化は共有されるべきです」


観客席。


拍手。


SNS。


【正論】

【林さんすごい】

【仲村家どうする】



司会者。

「では仲村さん」


継は静かにマイクを取った。


沈黙。

観客が見る。


継は言う。

「林さん、一つ質問いいですか?」


林は笑う。

「どうぞ」


継は言った。

「紅型の価値」


「いくらだと思います?」


会場がざわめく。


林は少し考える。

「文化に値段はありません」


継は頷く。

「でも」


「あなたは値段を知っていますよね」


沈黙。


継は言う。


「あなたの会社」


「文化ファンド」


「文化資産投資」


観客がざわつく。


継は続ける。


「紅型の市場価値」


「数百億」


林の目が細くなる。


継は静かに言う。


「だから欲しい」


「違いますか?」


会場。


どよめき。


SNS。


【え】

【マジ?】

【投資案件?】



林は笑った。

「誤解です。

 私は文化を守りたい」


継は言う。

「本当に?」


林は言う。

「もちろん」


「仲村家が長年隠したせいで」


一拍。


「紅型の価値は、

 天文学的に上がった」


沈黙。


その瞬間、

継の目が変わった。


「……今」


継は言う。


「なんて言いました?」


スタジオが静まる。


林は言う。

「事実です」


「市場は価値を評価します」


継は立ち上がった。


会場がざわめく。


継は言う。



「紅型は」


静かな声。


「株じゃない」


沈黙。


継は続ける。


「祖父が作った」


「沖縄の文化です」


一拍。


「あなたの投資商品じゃない」



会場。


静寂。


SNS。


【……】

【空気変わった】


司会者が慌てる。

「仲村さん」


「では、公開する意思は?」


継は言う。


「あります」


会場。

どよめき。


林の目が動く。


継は言った。



挿絵(By みてみん)


「2045年」


観客が静まる。


継は続ける。


「沖縄戦から100年」


会場。


静寂。


「その年に」


継は言った。


「紅型を展示します」



観客。


騒然。


SNS。


【え】

【100年】

【沖縄戦】


継は続ける。


「その日まで」


「紅型は」


「沖縄の時間です」


一拍。


「誰のものでもない」



沈黙。


スタジオ。

完全な静寂。


林明浩は継を見ていた。

そして、小さく笑った。


「……面白い」


林は言う。

「では」


「その日まで」


一拍。


「世論はどう思うでしょうね」


スタジオの空気が凍る。


継は答える。


「それを決めるのは」


観客を見る。


「文化です」



沈黙。


そして。

拍手が一人。

また一人。


やがて。

スタジオは拍手に包まれた。


挿絵(By みてみん)


しかし。


林明浩は拍手していなかった。

彼は鷹宮アレクに言う。


「いい」


そして。


「戦いになった」



夜。


戦いは、

まだ終わらない。



(第二十一話 了)


※作者より

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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