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Bingata Legacy 〜時と海を越える遺志〜  作者: ちま
第一部 尚継編 ― 未来に紡ぐ色 ―
23/32

第十九話 文化の値段 ―それは誰が決めるのか―

文化は

値段で決まるのか。


それとも

記憶で決まるのか。


世界は

まだ答えを知らない。

東京。


高層ビル。

林明浩のオフィス。


額縁。

一枚の写真。

紅型。


沖縄の海。

島々。

花。


そして

二つの旗。



鷹宮アレクがそれを見ていた。


静かな目。彼は言った。

「美しい」


一拍。


「そして、高い」


林が笑う。

「いくらだ?」


鷹宮は答えた。

「市場に出れば」


「国家予算レベルです」


林はワインを飲む。

「面白い」


鷹宮は続ける。

「文化は二種類あります」


林が聞く。

「ほう、説明しろ」


鷹宮は言った。

「保存される文化。

 流通する文化」


挿絵(By みてみん)


「これは、後者です」


林は笑った。

「つまり、金になる」


鷹宮は頷く。

「ええ、非常に」



同じ頃。


国立博物館。

研究室。


継たちは机を囲んでいた。

御厨が資料を見ている。

チャンはノートを取っている。


彩乃が言う。

「文化人を集めるって、

 具体的には?」


御厨は言った。

「学者、評論家、博物館、文化庁」


健太が聞く。

「そんな人たちが、

 味方になります?」


御厨は静かに言う。

「するだろう」


一拍。


「ただし、敵もいる」



チャンが言う。

「鷹宮アレク」


継が聞く。

「そんなに有名なんですか」


御厨は答える。

「国際キュレーター」


「世界の展示を動かす男だ」


彩乃が驚く。

「そんな人が、林側に?」


御厨は頷く。

「文化市場の人間だからな」


御厨は紅型を見る。

「彼の考え方は、単純だ」


継が聞く。

「どういう意味ですか」


御厨は言った。

「文化は、売るものだ」



その時。


チャンがスマートフォンを見る。

「あ」


健太が聞く。

「どうした」


チャンは画面を見せる。


ニュース記事。

見出し。


【幻の紅型 発見か】


継の顔が固まる。

「……え?」


彩乃が言う。

「嘘」


記事には書かれていた。


「沖縄に眠る幻の紅型」

「世界的価値」

「所有者は非公開」


健太が言う。

「もう記事出てるぞ」


御厨の目が鋭くなる。

「林明浩だ」


御厨は言う。

「始まったな」


継が聞く。

「何がですか」


挿絵(By みてみん)


御厨は静かに言った。

「文化戦争だ」



その夜。


テレビスタジオ。

インタビュー。


鷹宮アレクが座っている。


司会者が聞く。

「文化財の価値は?」


鷹宮は微笑む。

「市場です」


スタジオが少しざわつく。

鷹宮は続けた。


「価値は、人が決める」


一拍。


「そして、市場は世界です」



沖縄。

仲村工房。


継がテレビを見ていた。


鷹宮の言葉。

「文化は、流通してこそ意味がある」


継の拳が握られる。


彩乃が言う。

「継」


継はテレビを見たまま言った。


挿絵(By みてみん)


「売らない」


一拍。


「絶対に」



その頃。


東京。

林のオフィス。


テレビには

鷹宮のインタビュー。


林は笑った。

「いい宣伝だ」


鷹宮は言う。

「文化は、物語で売れる」


林が聞く。

「そして?」


鷹宮は答える。

「敵がいるほど、高くなる」


林はワインを回す。

「仲村継か」


鷹宮は微笑んだ。

「ええ」


一拍。


「最高の広告です」



東京の夜。


沖縄の夜。


文化戦争は

静かに広がっていた。



(第十九話 了)


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#政治要素あり #国際要素あり #史実ベース #フィクション
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