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Bingata Legacy 〜時と海を越える遺志〜  作者: ちま
第一部 尚継編 ― 未来に紡ぐ色 ―
17/29

第十三話 守るものがあるなら

戦う理由は、

強さでは決まらない。


守るものがあるかどうか。


それだけだ。

沖縄。


仲村工房。

夕方。


工房の空気は、

少し重かった。


継はノートPCを閉じる。


健太が言う。

「つまり、林は本気ってことだな」


継は頷く。

「ええ」


林グループ。

巨大資本。

世界企業。


もし本気で市場を作れば、

沖縄の紅型など、

簡単に飲み込まれる。



彩乃が言う。

「……怖い?」


継は少し考える。そして笑った。

「正直に言うと、怖いです」


健太が笑う。

「安心した」


「お前まで無敵だったら、

 俺の立場ない」


彩乃が机を叩く。

「でもさ」


一拍。


「怖いからって、やめるの?」


継は即答した。

「やめません」


沈黙。


そして健太が言う。

「だよな」



彩乃は、

作業台の上の紅型を見た。


青い海。

沖縄の島々。

花。


挿絵(By みてみん)


そして、

小さく描かれた二つの旗。


彩乃が言う。

「これ、ただの布じゃないよね」


継は頷く。

「はい」


健太が腕を組む。

「正直」


「俺は最初、

 そこまで深い意味あると

 思ってなかった」


彩乃が言う。

「でも、今は違う」


継は静かに言った。

「これは、歴史です」



沈黙。


工房の外から、

波の音が聞こえる。



健太が言う。

「なあ」


「もしさ、

 林が本気で来たら」


継は答える。

「来ます」


健太は笑う。

「だよな」


彩乃が言う。

「じゃあ、どうするの?」


継は少し考える。

そして言った。


「一つだけ」


「林より強い味方を探します」


健太が笑う。

「そんなのいるのか?」


継は答える。

「いるかもしれません」



継は立ち上がる。


工房の奥。

古い棚。


そこから、

ノートを取り出す。


表紙には、

古い字で書かれていた。


「協力者」


挿絵(By みてみん)


彩乃が言う。

「それ何?」


継は答える。

「美咲さんのノートです」


ページをめくる。

そこには、名前が並んでいた。


研究者。

商人。

記者。


そして――

ある名前。


継は言う。

「まず、この人に会います」


健太が覗く。

「誰?」


継は少しだけ笑って答えた。

「常連客です」


彩乃が言う。

「常連?」


継は頷く。

「在沖米軍」


一行。

名前が書かれていた。



ジョン・スティーブンス



健太が言う。

「……いや待て」


「なんで米軍?」


継は笑う。

「さあ」


「美咲さんに聞いてください」



その夜。


仲村工房に、

久しぶりに笑い声が戻った。


だが、

そのノートには、

まだ多くの名前が残っていた。


そして、

その中には――


林明浩が、

決して会いたくない人物もいた。


 

(第十三話 了)


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#政治要素あり #国際要素あり #史実ベース #フィクション
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