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第95話 決戦前夜

 夜の海は不気味にうねり、遠くの水平線には帝国艦隊の篝火が揺らめいていた。

 十隻を超える黒い艦影が波間に並び、その圧迫感は巨大な海獣の群れのようだった。


 人魚族の隠れ里は緊張に包まれていた。

 兵も民も武器を手に取り、潮の流れを操る準備を整えている。

 その中心で、カイたちは青く光るサンゴの炎を囲み、静かに座っていた。


「さて……いよいよってわけだな」

 オルドが戦鎚を磨きながら呟いた。

「鍛冶街の時と同じだ。数じゃ向こうが勝ってる。だが俺たちは退かねぇ」


 フィオナは杖を抱え、目を閉じて深く息を吐く。

「帝国は歌を奪い、命を踏みにじる。それを許せば、次は精霊族すべてが同じ道を歩むことになるでしょう。

 だから、私は必ず勝つ。理屈じゃなく……これは私自身の意志よ」


 冷静沈着な彼女の声は、静かな海に鋭く響いた。


 セレナは胸に手を当て、少し震えていた。

「……正直、怖いです。捕らえられていた時の記憶がまだ消えなくて……。

 でも、怯えているだけじゃない。

 歌は兵器なんかじゃない。仲間を守る力……そう信じて歌います」


 彼女の瞳には、恐怖を超えた強い意志が宿り始めていた。


 カイは皆を見渡し、拳を固く握った。

「俺も決めた。もう誰も、目の前で奪わせない。

 仲間を守るために……全力で戦う」


 紅と蒼の瞳が闇に燃え、海の揺らぎを映し出した。

 その言葉に、サンゴの光がより強く輝いたように見えた。


 静寂が訪れる。

 それぞれの胸に決意を宿した仲間たちは、遠くの艦影を見据えていた。


 オルドが口角を上げ、不敵に笑う。

「いい面構えだ。……明日は派手に暴れるぞ!」


 フィオナは頷き、微笑みながら杖を握った。

「ええ……必ず勝ちましょう」


 セレナは深海のような瞳を上げ、澄んだ声で誓った。

「この声を……自由のために捧げます」

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