第81話 港町へ
朝日が山の稜線を照らし、鍛冶街に新しい一日が訪れた。
街の門前には、多くの人々が集まっていた。
ドワーフ、エルフ、ウンディーネ、シルフ、ノーム、トレント――。
さらには戦で傷を負った兵や、かつて鎖に繋がれていた奴隷たちまでもが、足を引きずりながら列を成していた。
「こんなに……」
カイは目を見開いた。
市場で受け取った贈り物を背負いながら、彼は門前に立っていた。
フィオナは杖を握り、オルドは戦鎚を担ぐ。
その三人を、多くの瞳が見つめていた。
「解放者よ……どうか無事で」
「人魚たちを……頼む!」
「俺たちの分まで戦ってくれ!」
次々と投げかけられる声援。
歓声と祈りが混じり合い、空へと昇っていく。
フィオナが目を細め、カイに微笑みかけた。
「……あなたは、もう一人じゃないわ」
オルドは豪快に笑い、戦士たちへ拳を突き上げた。
「安心しろ! 俺たちが絶対に戻ってくる!」
その姿に応じて、ドワーフたちは槌を掲げ、エルフたちは弓を高く掲げた。
トレント族の巨木戦士は根を地に突き立て、低く響く声で言った。
「汝らの旅路に、大地の加護を」
ウンディーネ族の娘は涙を拭いながら叫んだ。
「海の底で待つ同胞を……どうか助けて!」
カイは胸に手を当て、深く息を吸った。
夢でアリシアに言われた言葉が、再び胸に蘇る。
――「これからも守り続けて」
紅と蒼の瞳が力強く輝く。
「みんなの想いを必ず背負って、帰ってくる。
帝国が何をしようと、俺は鎖を断ち切る!」
その宣言に、広場は大きな歓声で揺れた。
カイたちは振り返らずに歩き出す。
仲間の声援と精霊たちの祈りを背に受け、彼らは海を目指し――港町へと旅立った。




